【薬剤師向け】『糖尿病治療薬選び方・使い方第2版』レビュー|糖尿病治療薬を体系的に学べる1冊

なぜこの患者さんにはSGLT2阻害薬が選ばれたのだろう?

GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬は、どう使い分ければいいのだろう?
糖尿病の処方せんを見ていると、このような疑問を感じたことはないでしょうか。
私自身、糖尿病治療薬はある程度勉強してきたつもりでした。
しかし、本書を読んでみると、自分の作用機序や病態の知識が、実は曖昧だったことに気づかされました。
そんな学びを与えてくれたのが、『徹底解説!糖尿病治療薬 選び方・使い方 第2版 患者に応じた処方のポイント』です。

本書は医師向けに書かれた1冊ですが、糖尿病の病態から薬物療法まで体系的に学べる内容で、薬剤師にとっても十分に読む価値があります。処方意図まで理解しながら糖尿病治療薬を学びたい人にとっては、教科書のような1冊になると感じました。
一方で、情報量が非常に多く、気軽に読める本ではありません。
この記事では、実際に読んだからこそ感じた良かった点・気になった点を交えながら、本書がどのような薬剤師にオススメできるのかを正直にレビューしていきます。

糖尿病の勉強を始めたいけれど、どの本を選べばいいのか迷っている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 糖尿病治療薬について疑問があれば、まず本書を開けば答えが見つかります。病態から各薬剤の特徴、処方の考え方まで幅広く解説されています。糖尿病治療薬について疑問があれば、まず本書を開きたくなる。そんな教科書のような1冊だと感じました。 | |
| 実務での活かしやすさ | 処方選択の考え方や病態別の薬剤選択早見表など、実臨床を意識した内容は掲載されています。しかし、薬剤師が調剤室で疑義照会や服薬指導の際にすぐ確認するような内容は少なく、実務書というよりは自己学習向けの1冊という印象です。 | |
| 自己学習への向き | 机に座って時間を確保しながら、じっくり読み進めたい本です。一方で、その日に対応した糖尿病治療薬について疑問に思ったことをメモしておき、帰宅後に該当するページを読むという使い方であれば、無理なく学習を続けられると感じました。 | |
| 読みやすさ | 専門用語が多く、必要に応じて調べながら読み進める場面もありました。また、複数の著者が執筆しているため、章によって文章の読みやすさに多少の違いがあります。全体としては整理されていて読みやすい構成ですが、内容の専門性を考慮して星3としました。 | |
| コスパ | 税込5,500円。医療書の中でも比較的高めの価格です。しかし、その価格に見合うだけの情報量と内容の濃さがあります。糖尿病治療薬を体系的に学びたい方であれば、十分に購入する価値のある1冊だと感じました。 |
【のしんの一言】

知識を活かせるかどうかは、“自分次第”ではなく“環境次第”かもしれません。
もし今の職場に違和感があるなら、一度こちらの記事も読んでみてください。
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『糖尿病治療薬 選び方・使い方』はどのような本なのか
本書には、糖尿病治療薬を理解するために必要な知識が体系的にまとめられています。

まずは、本書の特徴や、薬剤師にとって読む価値がある理由をご紹介します。
医師向けの本だが、薬剤師にも学ぶ価値がある
本書は、糖尿病診療に携わる医師を主な対象として書かれた医療書です。
そのため、治療方針の考え方や薬剤選択の根拠など、医師の視点から詳しく解説されています。
一方で、薬剤師にとっても学ぶ価値は十分にあります。
患者さんの病態に応じて、なぜその薬が選択されたのかを理解し、処方意図を考えながら服薬指導を行うというトレーニングができるようになります。
実際に読んでみると、「医師向けの本だから薬剤師には難しい」という印象よりも、「糖尿病治療薬を深く学びたい薬剤師の教科書」といった印象を受けました。

糖尿病治療薬を体系的に理解したい方であれば、職種を問わず学びの多い1冊だと思います。
糖尿病の病態から薬物療法まで体系的に学べる
本書は、糖尿病治療薬だけを解説した本ではありません。
糖尿病の病態から薬物療法、実際の症例までを順を追って学べる構成になっているため、知識を体系的に身につけられます。
本書の構成は以下のとおりです。
・病態別薬剤選択早見表
・第Ⅰ章 糖尿病薬物療法の基本
・第Ⅱ章 各種糖尿病治療薬の基本知識
・第Ⅲ章 病態・状況別の薬物療法
・第Ⅳ章 症例から考える薬物療法
まず第Ⅰ章で糖尿病の病態や治療の基本を学び、第Ⅱ章では各糖尿病治療薬の作用機序や特徴を理解します。
第Ⅱ章で取り上げられている糖尿病薬は以下のとおりです。
・ビグアナイド薬
・チアゾリジン薬
・DPP-4阻害薬
・SU薬、グリニド薬
・SGLT2阻害薬
・イメグリミン塩酸塩
・α-グルコシダーゼ阻害薬
・経口GLP-1受容体作動薬
・配合薬、配合注射薬
・インスリン
その後、第Ⅲ章では病態や患者背景に応じた薬剤選択を学び、最後に第Ⅳ章で実際の症例を通して知識を整理できる構成です。
「病態を理解してから薬を学び、最後に症例で知識を定着させる」という流れになっているため、糖尿病治療薬を丸暗記ではなく、根拠を理解しながら学びたい薬剤師にオススメできます。
各糖尿病治療薬の作用機序や特徴を詳しく理解できる
前の見出しでは、本書は糖尿病の病態から薬物療法まで体系的に学べるとご紹介しました。しかし、本書の魅力は、それだけではありません。
最初から順番に読み進めるだけでなく、気になった薬剤のページだけを読む「拾い読み」にも向いています。
各糖尿病治療薬について、作用機序や特徴、適応となる患者像、副作用などが詳しく解説されているため、仕事中に「この薬はどういう特徴があるのだろう」と疑問に思ったときに、サッと確認ができます。

私自身、その日に気になった糖尿病治療薬をメモしておき、帰宅後に本書で調べるという使い方をしています。
日々の業務で触れた薬から少しずつ知識を積み重ねられるため、無理なく学習を続けられる点も本書の魅力だと感じています。
糖尿病治療薬を一度にすべて覚える必要はありません。
まずは普段の業務でよく触れる薬から理解を深めていくことで、自然と知識の幅が広がっていく1冊です。
新しい糖尿病治療薬や最新のガイドライン・文献を反映した1冊
本書は2025年2月に発行された第2版で、GIP/GLP-1受容体作動薬や週1回投与の基礎インスリンなど、当時の新しい糖尿病治療薬や国内外の最新ガイドラインを反映した内容へアップデートされています。
2026年7月現在までを見ても、本書に掲載されていない新しい糖尿病治療薬は、キーンス配合注のみです。キーンス配合注は、週1回投与の基礎インスリンであるインスリン イコデクと、GLP-1受容体作動薬のセマグルチドを組み合わせた配合注射薬です。
つまり、2026年7月現在に使用されている糖尿病治療薬のほとんどを網羅しています。
そのため、「この薬はどういう特徴があるのだろう」「なぜこの患者さんにはこの薬が選ばれたのだろう」と疑問に思ったときに、まず本書を開けば答えが見つかる場面が多いと感じました。
もちろん、今後さらに新しい薬剤やガイドラインの改訂があれば情報は更新されていきます。

しかし、2026年7月時点では内容の古さを感じることはほとんどなく、安心して学習に活用できる1冊です。
『糖尿病治療薬 選び方・使い方』を読んだ感想(良かった点・気になった点)

ここからは、本書を実際に読んで感じた良かった点と、気になった点をご紹介します。
購入を検討している方の参考になるよう、率直な感想をお伝えします。
めちゃくちゃ勉強になった

まず、素直に「勉強になった」というのが率直な感想です。
本書を読んで、自分が今まで糖尿病治療薬の作用機序や特徴を曖昧なままにしていたことを再認識させられました。
糖尿病治療薬は種類が多く、新しい作用機序の薬も次々と登場しています。
そのため、名前は知っていても、作用機序や薬剤ごとの特徴を十分に理解できていない薬も少なくありませんでした。
本書では、それぞれの薬剤について「どのような患者さんに適しているのか」「どのような点に注意して使うのか」まで丁寧に解説されています。
ただ薬を覚えるのではなく、病態と結び付けて理解できるため、知識が整理されていく感覚がありました。
糖尿病治療薬に少しでも苦手意識がある方はもちろん、「ある程度理解しているつもり」という方にも、一度読んでみてほしい1冊です。

私のように、新たな気付きが得られると思います。
付録の「病態別薬剤選択早見表」がとても分かりやすい
本書の中で、私が特に良いと感じたのが、表紙を1枚めくると掲載されている「病態別薬剤選択早見表」です。
この早見表は、患者さんの病態や併存疾患ごとに、どの糖尿病治療薬が推奨されるのかを一覧で確認できる表です。
患者背景に応じた薬剤選択の考え方が、2ページに分かりやすくまとめられています。

正直に言うと、本書を読み始める前は、この表の見方がよく分かりませんでした。
しかし、本書を最後まで読み終えてから改めて見返すと、「医師はこのような考え方で糖尿病治療薬を選択しているのか」ということがよく理解できました。
薬剤師は診断を行う立場ではないため、この表をそのまま活用する機会は多くないかもしれません。
しかし、新しく糖尿病治療薬が追加された患者さんの処方を見たときに確認すると、「なぜこの薬が選択されたのか」という処方医の意図を考えるヒントになります。
本書を購入したら、ぜひ読み終えた後にもう一度この表を見返してみてください。
最初とは違った見え方になり、この表の良さを実感できると思います。
(気になった点)情報量が多く、読み切るには時間がかかる
本書は約250ページと、それほど分厚い本ではありません。
しかし、B5判とサイズが大きく、文章もびっしりと書かれています。1ページあたりの情報量が非常に多く、見た目以上に読み応えがあります。
私自身、糖尿病治療薬の知識が曖昧だったこともありますが、内容を調べながら、自分の知識を整理しながら読み進めたため、読み切るまでに約8〜9時間かかりました。
電車で気軽に読むというよりは、机に向かってじっくり読み進めるタイプの本だと思います。
一方で、最初から最後まで一気に読む必要はありません。
普段の業務で分からない糖尿病治療薬が出てきたときや、新しく糖尿病治療薬が追加された患者さんの処方を見たときに、「なぜこの薬が選択されたのだろう」と考えながら、該当するページだけを読む使い方もオススメです。

私自身も、そのような「拾い読み」をしながら学習を続けています。
(気になった点)診断基準など、薬剤師には必要ないと感じる項目もある
本書は医師向けに書かれた本なので、糖尿病の診断基準や診断の進め方などについても詳しく解説されています。
もちろん、糖尿病診療を理解するうえでは重要な内容です。

しかし、薬剤師は診断を行う立場ではないため、私自身は「ここは自分には必要ないな」と思いながら読み進めた部分がいくつかありました。
一方で、その分だけ薬物療法や処方意図については非常に詳しく解説されています。
すべてを完璧に理解しようとするのではなく、薬剤師として自分に必要な部分を中心に読み進めると、より効率よく学習できる1冊だと思います。
『糖尿病治療薬 選び方・使い方』をオススメできる人
ここまで本書の特徴や、実際に読んで感じたことをご紹介してきました。
最後に、本書がどのような薬剤師に向いているのかをまとめます。

購入を検討している方は、ご自身に当てはまるかどうかを参考にしてみてください。
病院薬剤師
まず本書をオススメしたいのは、病院薬剤師です。
医師と接する機会が多い病院薬剤師にとって、医師がどのような考えで糖尿病治療薬を選択しているのかを学べる本書は、役立つ場面が多いのではと想像します。
本書には、周術期・絶食検査時の糖尿病治療薬の中止・再開や、心不全を合併した患者さんへの薬剤選択など、入院患者を想定した症例が掲載されています。
外来とは異なる視点で糖尿病治療を学べるため、病棟業務で糖尿病患者さんに関わる機会がある方には、実践的な知識を身につけられます。
糖尿病クリニック門前で働く薬剤師
糖尿病クリニック門前で働く薬剤師にも、本書は非常にオススメです。
毎日のように糖尿病患者さんの処方せんを受ける環境では、「なぜこの患者さんにはこの薬が選ばれたのか」と疑問に感じる場面も多いと思います。
本書には、2型糖尿病と診断されて薬物療法が開始される症例や、治療経過に応じて薬剤が追加・変更される症例など、外来診療を想定したケースも数多く掲載されています。

日々の処方内容と照らし合わせながら読むことで、処方意図への理解を深めることができると感じました。
糖尿病を体系的に学びたい人
糖尿病を一から体系的に学びたい方にも、本書はオススメです。
本書は、糖尿病の病態や診断から始まり、各糖尿病治療薬の特徴、患者背景に応じた薬剤選択、そして症例まで、一連の流れで学べる構成になっています。
そのため、

薬の特徴は知っているけれど、病態とのつながりが曖昧

糖尿病治療を基礎から学び直したい
と感じている方には、特に役立ちます。
私自身も、本書を読んだことで、これまで曖昧に理解していた作用機序や薬剤選択の考え方を整理することができました。
糖尿病治療薬を体系的に学ぶための教科書として、長く手元に置いておきたい1冊です。
編者・執筆者紹介
本書は、獨協医科大学内分泌代謝内科主任教授の麻生好正先生、獨協医科大学内分泌代謝内科教授の薄井勲先生が編集を務めています。
また、獨協医科大学や獨協医科大学埼玉医療センターをはじめ、糖尿病診療に携わる医師が多数執筆しています。
さまざまな専門家の知見が盛り込まれており、糖尿病治療薬について幅広く、実践的に学べる1冊です。
まとめ【糖尿病治療薬を体系的に学ぶための教科書】

本記事では、『徹底解説!糖尿病治療薬 選び方・使い方 第2版 患者に応じた処方のポイント』をレビューしました。

最後に、本記事の内容を簡単に振り返ります。
【どのような本なのか】
・医師向けの本だが、薬剤師にも学ぶ価値がある
・糖尿病の“病態”から“薬物療法”まで体系的に学べる
・各糖尿病治療薬の作用機序や特徴を詳しく理解できる
・新しい糖尿病治療薬や最新のガイドライン・文献を反映した1冊
【本書の感想】
・めちゃくちゃ勉強になった
・付録の「病態別薬剤選択早見表」がとてもわかりやすい
・(気になった点)情報量が多く、読み切るには時間がかかる
・(気になった点)診断基準など、薬剤師には必要ないと感じる項目もある
【オススメできる人】
・病院薬剤師
・糖尿病クリニックの門前で働く薬剤師
・糖尿病を体系的に学びたい人
糖尿病治療薬は種類が多く、新しい薬剤も次々と登場しています。
そのため、薬の特徴だけを覚えるのではなく、病態や薬剤選択の考え方と結び付けて理解することが大切だと、本書を読んで改めて感じました。

情報量は多く、決して気軽に読める本ではありません。
しかし、その分、糖尿病治療薬を体系的に学ぶための教科書として長く活用できる1冊です。
糖尿病治療を深く理解したい薬剤師の方は、ぜひ手に取ってみてください。きっと、処方を見る視点がこれまでとは少し変わると思います。
【のしんの一言】

最後まで読んでいただきありがとうございます。
勉強意欲の高い薬剤師のあなたに、ひとつだけ伝えたいことがあります。
「もっと学びたい」気持ちを活かすには、“どこで働くか”もとても大切です。
▶︎ 学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら







