病院薬剤師向けだけど薬局でも役立つ!『薬歴・指導記録の書き方』レビュー

あなたは、自分が書いた薬歴を他の医療従事者が読むとなったらどう感じますか?
病院薬剤師の方なら、

電子カルテに書くんだから、医師や看護師が読むのは普通ですよね。
と感じるかもしれません。
一方で、

指導記録の書き方に自信がないんだよな……
という病院薬剤師の方もいるのではないでしょうか?
では、薬局薬剤師は?
いつもはスラスラ薬歴を書いていても、処方医に読まれると思うとどうですか?

どう書けばいいのか手が止まってしまう……。
正直、読まれたくありません!
私と同じように感じる薬局薬剤師の方も多いのではと想像します。
今回紹介する『シンプルでわかりやすい 薬歴・指導記録の書き方 改訂2版』は病院での薬歴・指導記録の書き方を学べる1冊です。

本書は、病院薬剤師の病棟業務を中心に、SOAPの基本から具体的な記載方法まで丁寧に解説されています。
電子カルテに書くことが前提なので、他の医療従事者が必要としている情報を書くという視点が得られます。
病院薬剤師向けの1冊ですが、実際に読んでみると、薬局薬剤師の私にとっても学びの多い1冊でした。
この記事では、
・本書の特徴
・実際に読んだ正直な感想
・オススメできる人
を紹介していきます。

薬歴・指導記録の書き方に自信がない方は、ぜひ本記事をご覧ください。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 病院薬剤師向けの本ですが、薬局薬剤師にも学びがある1冊です。SOAPの基本から具体的な記載方法まで丁寧に解説されています。 | |
| 実務での活かしやすさ | 業務中に開いて、その場で参照するタイプの本ではありません。薬歴・指導記録の書き方をじっくり学び、日々の業務に活かしていくための1冊です。 | |
| 自己学習への向き | 机に座っての自己学習に適しています。B5判と本のサイズが大きく、通勤時間などの隙間時間には読みにくいと感じました。 | |
| 読みやすさ | 文章はわかりやすく、スラスラ読み進められます。ただし、似た構成の薬歴が続くため、途中で少し読み飽きてしまうような単調さも感じました。 | |
| コスパ | 税込3,520円。医療書としては標準的な価格帯です。十分に手に取る価値のある1冊だと思います。 |
【のしんの一言】

知識を活かせるかどうかは、“自分次第”ではなく“環境次第”かもしれません。
もし今の職場に違和感があるなら、一度こちらの記事も読んでみてください。
▶︎学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら

『薬歴・指導記録の書き方 改訂2版』はどのような本なのか

本書は、POS・SOAPの基本から具体的な記載方法まで、薬歴・指導記録の書き方を丁寧に解説した1冊です。
病院薬剤師の病棟業務を中心とした豊富な症例に加え、自分で考えながら学べるアウトプットのパートも用意されています。
ここからは、本書の特徴を3つ紹介していきます。
POS・SOAPの基本から具体的な書き方まで学べる
本書は、全4章で構成されています。
・第1章:記録の書き方 ~POSとSOAPの基礎~
・第2章:記録の書き方 ~実践編~
・第3章:指導記録についてのQ&A
・第4章:指導記録のAudit
第1章では、POS・SOAPの基本的な考え方やルールについて解説されています。
まず、「POSとは何か?」の解説があり、その後「SOAPの書き方」に続きます。
とても丁寧な解説で、S、O、A、Pそれぞれの書き方・ポイントが解説されたのち、多くの薬剤師が書くのに苦労するアセスメント(A)についてはさらに深掘りして解説されます。

薬歴を書いたことがない新人の薬剤師にも優しい、とても丁寧な内容だと感じました。
続く第2章では、実際の症例をもとに、具体的な薬歴・指導記録の書き方が紹介されています。
全部で14項目あり、例えば、
・初回面談
・退院時指導の記録
・オピオイド服用患者の指導記録
・短期入院患者への関わりと指導記録
など、さまざまな状況における薬歴・指導記録の書き方を学ぶことができます。

POS・SOAPの基本を学んでから、具体的な記載例を通して理解を深められる構成になっています。
病院薬剤師の業務を中心とした豊富な症例
本書で紹介されている症例は、病院薬剤師の病棟業務を中心としたものです。
がん患者への化学療法や短期入院患者への指導など、病院ならではの症例が数多く掲載されています。

一方で、薬局薬剤師にも身近な内容も紹介されています。
例えば、
・小児患者への対応(保護者への指導)
・疑義照会記録
・外来患者への指導と記録
など、薬局薬剤師にとっても参考になる症例があります。
また、病院ならではの症例であっても、学べることは多いです。
例えば、がん患者への化学療法に関する記録です。
薬局薬剤師にとっては普段の業務であまり触れることのない内容かもしれませんが、「他の医療従事者が読んだときに、患者の状態や薬剤師の判断が伝わる薬歴をどう書くのか」という視点で読めば、十分に参考になります。

病棟業務を中心とした本ですが、薬歴・指導記録の書き方を学ぶという点では、薬局薬剤師にも学びの多い内容だと感じました。
自分で考えながら学べるアウトプットのパートもある
第4章は、「指導記録のAudit(オーディット)」という見出しです。

Audit(オーディット)とは「監査」という意味です。
ここでは薬歴・指導記録の内容を確認し、問題点や改善点を見つけることを指します。
本章では、修正前の薬歴・指導記録が掲載されており、どこに問題があるのか、どのように修正すればよいのかが解説されています。

私は、この第4章をアウトプット学習に活用できると感じました。
まず、修正前の記録を読み、「自分ならどこを修正するか?」と考えてから解説を確認します。
単に解説を読むだけでなく、自分で問題点や改善点を考えることで、薬歴・指導記録の書き方への理解を深められると思います。
『薬歴・指導記録の書き方 改訂2版』を読んだ感想【良かった点・気になった点】

実際に本書を読んでみると、薬歴の書き方について多くの学びがありました。
特に印象的だったのは、薬歴の書き方に対する考え方です。
一方で、読み進めるなかで少し気になった点もありました。

ここからは、実際に読んで感じた良かった点と気になった点を、それぞれ2つずつ紹介していきます。
優しい本だと感じた

これはかなり主観的な感想になりますが、私は本書を読んで「優しい本だな」と感じました。
これまで何冊か薬歴関連の書籍を読んできましたが、私には「薬歴はこう書くべき」「このように書くのが正しい」といった、著者の主張が強く感じられる本もありました。
もちろん、それぞれの本に学ぶべきことがあり、決してそれが悪いというわけではありません。
一方、本書の「序」には、記録の書き方にはさまざまな考え方があり、ルールや理論に縛られる必要はない、という趣旨のことが書かれています。

この考え方が、私にはとても印象的でした。
薬歴の書き方に唯一の正解を求めるのではなく、書き手の考え方を尊重してくれている。

そんな印象を受けたからこそ、私は本書を「優しい本」だと感じたのだと思います。
病院薬剤師向けの本だけど、薬局薬剤師にも学びがある
本書は薬局薬剤師にもオススメできる本だと感じました。

文章はわかりやすいし、病院薬剤師が普段どのように業務にあたっているのかというイメージも湧きました。
もちろん、薬局での業務・薬歴にも役立つ知識を得られます。
例えば、SOAPのアセスメント(A)について。
「問題なし」と記載する時、何について問題がないのかを明確にすることが大切というのは、「なるほど!」と思いました。
また、プロブレムの挙げ方については、薬剤師目線ではなく、患者目線で問題点を考えるということに納得感がありました。
病院と薬局では、業務内容や扱う薬の種類などに違いはありますが、「薬剤師としてどう考えるか」という観点では、共通点が多いと思います。

薬局薬剤師にも病院薬剤師にも学びの多い1冊だと感じました。
(気になった点)本のサイズが大きく、机に座ってじゃないと読みにくい
本書はB5判(182×257mm)で、サイズが大きい本です。
そのため、読む場所や姿勢が限られると感じました。
例えば、電車で座ってなら読めますが、立ったまま読むにはサイズが大きく、読みにくいと思います。

隙間時間に少しずつ読み進めるよりも、机に座ってじっくり勉強するのに適した本だと感じました。

通勤時間などを活用して勉強したい方にとっては、少し不便なサイズかもしれません。
(気になった点)もう少し解説してほしいと感じることもあった
本書は、良くも悪くも薬歴・指導記録の書き方を学ぶ本です。

症例に登場する薬や治療については、基本的に解説されていません。
例えば、カテーテルアブレーションを受ける患者さんが、メトホルミンを術後2日間休薬する症例があります。
本書では「治療の時に使用する薬との相性が悪いため」と説明されていますが、具体的に何が問題になるのかまでは解説されていません。

もちろん、薬歴・指導記録の本なので、仕方のない部分ですが、少し気になる点でした。
オススメできる人
本書は、薬歴の基本から具体的な書き方まで、幅広く学べる1冊です。
病院薬剤師向けの内容が中心ですが、薬局薬剤師にとっても学びの多い本です。

実際に読んでみて、こんな人にオススメできるなと感じたことをお伝えします。
病院薬剤師

まず、病院薬剤師にオススメです。
本書は、病院薬剤師に向けて書かれた指導記録の本です。
他職種が読んでもわかりやすい記録の書き方や、病棟業務のさまざまなケースに応じた記録の書き方を学べます。
具体的な症例をもとに解説されているので、実際の業務をイメージしながら学習できるのも良いところです。

特に、これから病棟業務に携わる薬剤師や、指導記録の書き方に自信がない病院薬剤師に読んでほしい1冊だと感じました。
薬歴・指導記録の書き方を基礎から学びたい薬剤師

病院薬剤師・薬局薬剤師に限らず、薬歴書き方を基礎から学びたい薬剤師にオススメです。
本書の第1章では、POSやSOAPの基本的な考え方から丁寧に解説されています。
特に、SOAPの中でも書き方に悩みやすいアセスメント(A)について詳しく解説されているのが特徴です。
「SOAPという形式は知っているけれど、アセスメントに何を書けばよいのかわからない」という薬剤師にとって、参考になる内容だと思います。

薬歴・指導記録の書き方をこれから学ぶ薬剤師はもちろん、基本をもう一度勉強したい薬剤師にも読んでほしい1冊です。
自分の薬歴・指導記録の書き方を見直したい薬剤師

普段、自分が書いている薬歴を見直したい薬剤師にもオススメです。
薬歴は毎日の業務で繰り返し書くものですが、自分の薬歴を改めて考える機会は少ないのではないでしょうか。
本書の第4章ではアウトプットしながら薬歴を考えることができます。
自分で考えてから解説を読むことで、自分では気づかなかった問題点や改善点を発見できます。
普段の薬歴・指導記録の書き方を振り返る、良いきっかけになると思います。
まとめ【優しく学べる薬歴・指導記録の書き方】

『シンプルでわかりやすい 薬歴・指導記録の書き方 改訂2版』は、POSやSOAPの基本から具体的な記録の書き方まで学べる1冊です。

病院薬剤師向けの内容が中心ですが、薬局薬剤師の私にとっても学びの多い本でした。
最後に、本書の特徴や実際に読んだ感想を振り返ります。
【『薬歴・指導記録の書き方 改訂2版』はどのような本なのか】
・POS・SOAPの基本から具体的な書き方まで学べる
・病院薬剤師の業務を中心とした豊富な症例
・自分で考えながら学べるアウトプットのパートもある
【『薬歴・指導記録の書き方 改訂2版』を読んだ感想】
・優しい本だと感じた
・病院薬剤師向けの本だけど、薬局薬剤師にも学びがある
・(気になった点)本のサイズが大きく、机に座ってじゃないと読みにくい
・(気になった点)もう少し解説してほしいと感じることもあった
【オススメできる人】
・病院薬剤師
・薬歴・指導記録の書き方を基礎から学びたい薬剤師
・自分の薬歴・指導記録の書き方を見直したい薬剤師

本書を読んで、普段何気なく書いている薬歴について、改めて考えるきっかけになりました。
特に、アセスメントの書き方や患者目線でプロブレムを考えるという点は、今後の業務でも意識していきたいと思います。
薬歴・指導記録の書き方を基礎から学びたい方はもちろん、自分の書き方を見直したい薬剤師にもオススメです。

毎日書いている薬歴だからこそ、一度じっくり勉強してみるのもよいのではないでしょうか。
【のしんの一言】

最後まで読んでいただきありがとうございます。
勉強意欲の高い薬剤師のあなたに、ひとつだけ伝えたいことがあります。
「もっと学びたい」気持ちを活かすには、“どこで働くか”もとても大切です。
▶︎ 学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら






