薬歴の本

『薬歴のツボ』レビュー|薬局薬剤師が読んで感じた本音と実務で活かせたこと

のしん
薬剤師A
薬剤師A

薬歴に何を書けばいいのか分からない…。

薬剤師B
薬剤師B

毎回同じような薬歴になってしまう…。

薬歴は毎日書く業務だからこそ、「早く書くこと」だけに意識が向いてしまったり、「どの患者さんも似たような薬歴になってしまう」と感じたりする薬剤師も多いのではないでしょうか。

そんな薬剤師にオススメしたいのが、今回レビューする『薬歴のツボ』です。

本書は、44症例をクイズ形式で解きながら、「足りない薬歴」を考えるトレーニング本です。

知識をインプットするだけでなく、自分で考えながら読み進められるため、実務に直結する視点を身につけられる1冊だと感じました。

この記事では、実際に本書を読んだ薬局薬剤師の視点から、

・『薬歴のツボ』はどのような本なのか
・実際に読んで感じた良かった点・気になった点
・私が実務で取り入れたこと
・どのような薬剤師にオススメできるのか

を紹介しています。

本書の購入を検討している方や、薬歴をもっとレベルアップしたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

評価項目評価ポイント
総合評価新人薬剤師から中堅・ベテラン薬剤師まで、幅広い方にオススメできる1冊です。サクサク読み進められるだけでなく、薬歴に限らず日々の患者対応にも活かせる学びが多いです。
実務での活かしやすさ業務中に開いて調べるタイプの本ではないため、この評価としました。一方で、本書の内容を自分の知識として身につけることができれば、日々の薬歴作成や患者対応に十分活かせる内容だと感じます。一部の比較表はコピーして手元に置いておくと、日常業務で役立ちそうです。
自己学習への向き自宅はもちろん、通勤時間や休憩時間などの隙間時間にもサッと取り出して学習できます。自己学習の習慣がまだ身についていない方にもオススメしやすい1冊です。
読みやすさA5判・164ページとコンパクトで軽く、カバンに入れて持ち歩いても負担になりません。1症例ごとのボリュームも短く、文章も読みやすいため、読書習慣がない方でもスラスラ読み進められます。
コスパ税込2,530円。医療書としては比較的手に取りやすい価格帯です。実務につながる学びも多く、コストパフォーマンスは高いと感じました。

【のしんの一言】

のしん
のしん

知識を活かせるかどうかは、“自分次第”ではなく“環境次第”かもしれません。

もし今の職場に違和感があるなら、一度こちらの記事も読んでみてください。

▶︎学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら

あわせて読みたい
勉強を習慣にするための転職|もっと勉強したい薬剤師に伝える3つの事【業務・時間・文化】
勉強を習慣にするための転職|もっと勉強したい薬剤師に伝える3つの事【業務・時間・文化】

『薬歴のツボ』はどのような本なのか

『薬歴のツボ』は、実際の症例を通して薬歴作成を学べる1冊です。
新人薬剤師から、薬歴の幅を広げたい薬剤師まで幅広く活用できます。

のしん
のしん

ここでは、本書の特徴や構成について紹介します。

薬局薬剤師に向けた、薬歴トレーニング本

『薬歴のツボ』は、薬局薬剤師に向けた薬歴作成のトレーニング本です。

実際の処方内容や患者背景をもとに作成された全44症例を収録しており、薬局業務でイメージしやすいケースを幅広く扱っています。

対象となるのは、新人薬剤師から、薬歴の幅を広げたい薬剤師まで幅広く、さまざまな症例に触れながら薬歴作成の引き出しを増やせる内容です。

「足りない薬歴」を見つけるクイズ形式

本書は全4章で構成されています。

第1章では薬歴の基本的な考え方、第3章では薬歴作成のポイント、第4章では実務で役立つ質疑応答やミニレクチャーがまとめられています。

そして、本書の中心となるのが第2章の「薬歴クイズ」です。

症例の概要とともに、「足りない薬歴」として一見問題なく書かれているように見える薬歴が掲載されています。まずそこで読者は「この薬歴には何が足りないのか」を考えます。

ページをめくると解説が掲載されており、不足している薬学的評価や確認すべき内容、記載すべきポイントなどを確認しながら答え合わせができるという構成です。

のしん
のしん

まず自分で考えてから解説を読むため、一方的に知識をインプットするだけでなく、アウトプットを交えながら学習できます。

そのため、薬歴を書く際の引き出しを増やしたい薬剤師に役立つ内容となっています。

A5判・165ページで読みやすいボリューム

のしん
のしん

本書はA5判・165ページです。小さく・軽い本です。

2時間半〜3時間ほどあれば読み切れる分量と難易度で、休日1日で読み切れます。

また、1症例あたり5分程度で読み進められるため、通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を活用しながら学習を進めることも可能です。

A5判で軽量なため、バッグに入れて持ち運びやすいのも魅力です。通勤時や外出先へ持ち歩く際も負担になりにくく、場所を選ばず読み進められます。

まとまった時間が取れない方でも、自分のペースで無理なく読み進められる1冊です。

『薬歴のツボ』を読んだ感想(良かった点・気になった点)

のしん
のしん

ここからは、『薬歴のツボ』を実際に読んで感じたことを書いていきます。

良かったと感じた点はもちろん、「ここは少し気になったな」と思った点も率直にまとめました。
購入を検討している方の参考になれば嬉しいです。

読みやすい!!

のしん
のしん

私が本書を読んで最初に感じたのは、「とにかく読みやすい」ということです。

専門書というと、専門用語を調べながらでないと読み進められないものもありますが、本書はそのようなことはありません。専門用語も比較的少なく、文章も短く柔らかいため、スラスラと読み進められます。

解説も回りくどさがなく、伝えたいポイントが分かりやすくまとめられています。「難しい専門書を読んでいる」という感覚なく、読み切れました。

文章の分かりやすさに加え、1症例ずつがコンパクトにまとまっていることも、本書の大きな魅力だと感じました。この点については、次で詳しくお話しします。

隙間時間にもサクッと読み進められる

本書は、スキマ時間を活用して少しずつ読み進めたい方にもオススメです。

1症例ごとに内容がコンパクトにまとまっており、1症例あたり5分ほどで読めます。

のしん
のしん

そのため、休憩時間や通勤時間などの短い時間でも、無理なく読み進めることができました。

また、A5判・165ページと持ち運びやすいサイズなので、バッグに入れても邪魔になりません。自宅でまとめて読むだけでなく、外出先でも気軽に開ける1冊だと感じました。

(気になった点)「薬歴の書き方」を学ぶ本ではないと感じた

本書を読んで感じたのは、「薬歴の書き方」を体系的に学ぶための本ではないということです。

薬歴はSOAP形式で記載されることが多いですが、本書ではSOAP全体の書き方を順番に解説しているわけではありません。

多くの薬剤師が「何を書けばいいのか」と悩みやすいA(アセスメント)の考え方が解説されています。

その意味では、「しっかりとした薬歴を書けるようになりたい」という薬剤師のニーズには応えている本だと感じました。

のしん
のしん

一方で、薬歴をほとんど書いたことがない新人薬剤師の方が、「薬歴とは何か」「SOAPとは何か」といった基礎から学ぶ本ではありません。

SOAPを学びたいなら他の入門書の方が適していると思います。

逆に、ある程度薬歴を書いた経験があり、「自分の薬歴には何が足りないのか」を見直したい方には、オススメできる1冊だと感じました。

(気になった点)正解が1つではないので、解説にモヤっとすることもあった

本書はクイズ形式で進むため、「自分ならこう書くかな」と考えながら読み進めることができます。

一方で、薬歴には絶対的な正解があるわけではありません。そのため、「自分ならこう書く」「著者はこう考えた」といった違いが生じることもあります。

のしん
のしん

症例によって、「なるほど!」と納得できる解説と「モヤっと…」と感じる解説に差がありました。

もちろん、著者の考え方や視点から学べることは多くあります。

しかし、「この書き方だけが正解」という本ではないので、解説を鵜呑みにするのではなく、「自分ならどう考えるか」を意識しながら読むと、より学びの多い1冊になると感じました。

『薬歴のツボ』を実務に活かしたこと

薬歴には2つあります。
「基本情報」と「日々の薬歴」の2つです。

のしん
のしん

言われてみれば、当たり前ですが、意外と意識していない薬剤師の方も多いのではないでしょうか?

そして、薬歴というと、患者さんとのやり取りを記載する「日々の薬歴」をイメージする方が多いと思います。しかし、本書では、重要なのは「基本情報」だと解説されています。

基本情報は、「その患者さんの歴史」とも言い換えられ、1回の聞き取りで完成するものではありません。
複数回の来局で少しずつ情報を積み重ね、作り上げていきます。ということは、複数の薬剤師で聞き取りをする必要があります。

そのため、薬局全体で「どのような情報を基本情報として残していくのか」という共通認識を持つことが重要になります。

私は、「薬局ごとの差が出るのは、日々の薬歴ではなく基本情報である」という考え方に、とても納得しました。

のしん
のしん

実際に本書を読んでから、私自身も申し送りの内容を見直すようになりました。


ここでは、その中でも実務に取り入れて良かったことを2つご紹介します。

用量が変わる年齢を申し送りに記載するようにした

本書には、抗アレルギー薬の比較表が掲載されています。用法や半減期などが見やすくまとめられた比較表ですが、その中でも私が特に参考になったのが、「小児用量が切り替わる年齢」の記載です。

のしん
のしん

小児用量には、体重による調節と年齢による調節の2パターンがあることは、多くの薬剤師が知っていると思います。

のしん
のしん

ですが、例えばフェキソフェナジンの用量が切り替わる年齢を答えられる薬剤師は、ほとんどいないのではないでしょうか。

答えは「6か月・2歳・7歳・12歳」です。

私はこれまで、処方箋を受け取るたびに小児用量を確認していました。

しかし、定期的に処方される小児患者さんであれば、申し送りに「用量が切り替わる年齢」を記載しておけば、毎回確認する必要がありません。また、増量が必要なタイミングを見逃すことも防げます。

本書を読んでからは、年齢で用量が変わる薬を服用している小児患者さんの申し送りに、この内容を記載するようになりました。

のしん
のしん

本書の中でも、私が最も参考にさせてもらった申し送りの1つです。

ヘルパーさんの関わり方を申し送りに記載するようにした

のしん
のしん

薬局に薬を代理で取りに来る方の中に、毎回ヘルパーさんが来局される患者さんはいませんか?

私の薬局にも数名いらっしゃいます。

ヘルパーさんへの聞き取りは、なかなか難しいと感じることがあります。

ヘルパー
ヘルパー

私はヘルパーなので詳しいことは分かりません。

と言って、薬だけ受け取って帰られる方もいらっしゃいます。

本書では、患者さんの情報を共有できているヘルパーさんへの投薬は問題ないことや、「ヘルパーがどういう関わりのある者なのか」を基本情報として薬局内で共有しておくことの重要性が紹介されていました。

そこで私の薬局では、初めて対応するヘルパーさんには、どのような業務を担当しているのかを聞き取り、申し送りへ記載するようにしました。

・ヘルパーさんの利用頻度
・週に何回利用しているのか
・買い物だけなのか
・家の中のことや介助まで行っているのか
・食事を作っているのか
・掃除をしているのか
・服薬介助もしているのか

これらを確認しておくことで、そのヘルパーさんが患者さんの生活や服薬状況について、どの程度把握しているのかが分かります。

例えば、「患者さん本人の外出が難しいため、頼まれた買い物だけをしている」というヘルパーさんであれば、服薬状況や体調の変化までは把握していないことが多く、後ほど患者さん本人へ電話で確認した方がよいかもしれません。

一方で、服薬介助や身の回りのお世話まで担当しているヘルパーさんであれば、その場で必要な聞き取りができることもあります。

のしん
のしん

このような情報を申し送りへ記載しておくことで、次回以降に対応する薬剤師も「このヘルパーさんにはどこまで確認できるのか」が分かるため、業務がスムーズに進むようになりました。

『薬歴のツボ』をオススメできる人

本書は、薬歴の書き方を体系的に学ぶ本ではありません。一方で、日々の服薬指導や薬歴の視点を広げ、「こんな考え方もあるのか」と気付きを得られる1冊です。

のしん
のしん

実際に読んでみて、特に次のような薬剤師の方にオススメできると感じました。

薬局薬剤師

本書で取り上げられている44症例は、すべて外来患者を想定した症例です。そのため、保険薬局で働く薬剤師であれば、「こういう患者さん、いるな」とイメージしながら読み進められます。

のしん
のしん

登場する患者さんも、日々の服薬指導で出会いそうなケースばかりです。

「あるある」と共感しながら読める場面も多く、最後まで飽きずに読み進めることができました。

薬局薬剤師にとって身近な症例がそろっているからこそ、本書の内容も自然と自分ごととして考えやすい1冊だと感じました。

薬歴のマンネリ化を感じている薬剤師

自分の薬歴を見返したときに、

薬剤師
薬剤師

定型化していて、ワンパターンだなぁ

と感じることはないでしょうか。

薬歴は早く書いて、次の患者さんの服薬指導へ進まなければなりません。そのため、ある程度定型化して効率を上げることは、とても大切だと思います。

ですが、そればかりになってしまうと、患者さん一人ひとりに合わせて情報を集め、次回以降の服薬指導につなげていくという、薬歴本来の役割が薄れてしまいます。

本書には、さまざまな症例を通して、薬歴の書き方や患者さんへの着目点、考え方が数多く紹介されています。

のしん
のしん

「こんな情報も聞いておくといいのか」「こんな視点で薬歴を書く方法もあるのか」と、新たな気付きを得られる場面が何度もありました。

本書は、そんなマンネリ化した薬歴を見直したいと感じている方にオススメです。

隙間時間で勉強する本を探している薬剤師

のしん
のしん

仕事や家事、育児で忙しく、まとまった勉強時間を確保するのが難しい薬剤師の方にも、本書はオススメです。

1症例が5分程度で読める構成なので、休憩時間や通勤時間などのスキマ時間でも少しずつ読み進められます。

「今日は2〜3症例だけ読もう」といった読み方ができるので、無理なく勉強を続けられるのも魅力です。

A5判・165ページとコンパクトで持ち運びもしやすく、カバンに入れておいて気軽に取り出せます。

まとまった勉強時間が取れない方でも、日々の生活の中に取り入れやすい1冊だと感じました。

著者紹介

本書の著者は、薬剤師の小林潤氏です。

2001年に城西大学薬学部を卒業後、株式会社デー・ピー・シーに入社。2014年には株式会社クオシアを設立し、薬局を開局されています。2025年時点では、長野県小諸市・佐久市で9店舗の薬局を運営されています。

本書は、9店舗の薬局を経営する中で培ってきた小林さん自身の経験や、日々の患者さんとの関わりをもとに、薬歴に対する考え方や実践してきたことがまとめられた1冊です。

まとめ【薬歴の視点を広げてくれる一冊】

のしん
のしん

今回は、『薬歴のツボ』を読んだ感想や、実際に私が実務へ取り入れたことを紹介しました。

本書は薬歴の書き方を学ぶ本というよりも、「患者さんからどのような情報を集め、薬歴へ残していくか」という視点を学べる一冊でした。

この記事の内容を、最後に振り返ります。

【どのような本なのか】

・薬局薬剤師に向けた、薬歴トレーニング本
・「足りない薬歴」を見つけるクイズ形式
・A5判・165ページで読みやすいボリューム

【本書を読んだ感想】

・読みやすい!!
・隙間時間にもサクッと読み進められる
・(気になった点)「薬歴の書き方」を学ぶ本ではないと感じた
・(気になった点)正解が1つではないので、解説にモヤっとすることもあった

【本書を実務に活かせたこと】

・薬歴には「基本情報」と「日々の薬歴」の2つあることを再認識した
・用量が変わる年齢を申し送りに記載するようにした
・ヘルパーさんの関わり方を申し送りに記載するようにした

【本書をオススメできる人】

・薬局薬剤師
・薬歴のマンネリ化を感じている薬剤師
・隙間時間で勉強する本を探している薬剤師

『薬歴のツボ』は、薬歴のマンネリ化を感じている方や、薬歴の視点を少し広げたいと感じている薬剤師にオススメできる1冊だと感じました。

私自身も、本書を読んだことをきっかけに申し送りの内容を見直し、日々の業務へ活かせる学びがありました。

のしん
のしん

薬歴について改めて考えるきっかけが欲しい方は、一度手に取ってみてもよいのではないでしょうか。

【のしんの一言】

のしん
のしん

最後まで読んでいただきありがとうございます。

勉強意欲の高い薬剤師のあなたに、ひとつだけ伝えたいことがあります。

「もっと学びたい」気持ちを活かすには、“どこで働くか”もとても大切です。

▶︎ 学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら

あわせて読みたい
勉強を習慣にするための転職|もっと勉強したい薬剤師に伝える3つの事【業務・時間・文化】
勉強を習慣にするための転職|もっと勉強したい薬剤師に伝える3つの事【業務・時間・文化】
記事URLをコピーしました