
突然ですが質問です。
「あなたが勤めている薬局にある薬の中で、腎機能が低下している方に減量が必要な薬を何種類答えられますか?」

えっと…何があったっけ??

メトグルコでしょ、バルトレックスでしょ、リリカでしょ…
答えに詰まってしまう方も、スラスラ答えられる方も、薬剤師である以上、腎機能を避けて働くことはできません。
高齢化が進む中で、腎機能を意識しなくてよい患者さんの方が少なくなってきました。
しかし、腎機能の勉強を始めようと思っても、
「どの本から読めばいいか分からない」
「難しそうで挫折しそう」
「医療書は高いから、買ってから後悔したくない」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事は、たくさんの医療書を読み込みレビューしてきた薬局薬剤師の私が、腎機能を学びたい薬剤師向けに6冊を比較します。

あなたに合う1冊が見つかる「医療書比較シリーズ」です。
今回はいつもの比較記事とは少し違い、オススメランキングだけではなく、「どの順番で学ぶべきか」というロードマップ形式でまとめました。
この記事では、
・あなたに合う腎機能本
・どの順番で勉強すべきか
・新人からベテランまで、レベル別の学習ロードマップ
をお伝えします。
大切なのは、『どの本が一番良いか』ではなく、『今の自分に合う本はどれか』を考えることです。
あなたに合った1冊を見つけたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【のしんの一言】

知識を活かせるかどうかは、“自分次第”ではなく“環境次第”かもしれません。
もし今の職場に違和感があるなら、一度こちらの記事も読んでみてください。
▶︎ 学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら
【薬剤師向け】腎機能学習ロードマップ
腎機能の勉強は、最初から難しい本に挑戦する必要はありません。
むしろ、自分のレベルに合った本を順番に選ぶ方が、遠回りしにくいと思います。
腎機能の本に限ったことではありませんが、私自身、いきなり難しい本を読み始めて、

難しすぎる…。全然進まない…。
と挫折したことが何度もありました。
だからこそ、今回は「どの本が良いか」だけではなく、「どの順番で学ぶべきか」を重視してロードマップを作成しました。
まずは全体像をご覧ください。


私が考える腎機能学習の流れは、まず入門書で基礎を作り、アウトプットで知識を定着させ、その後に上級書で深掘りする方法です。
ここから、それぞれの役割を簡単に説明します。
【まずは入門】1冊目は『ぐんぐん慢性腎臓病』か『ファーストレッスン』
腎機能学習の1冊目は、とても重要です。
最初に難しすぎる本を選んでしまうと、途中で挫折し、本で勉強すること自体に苦手意識を持ってしまうかもしれません。
まず紹介する2冊は、どちらも入門書です。
学習習慣のない方にもオススメできる2冊ですが、目指している方向性は少し違います。
・『ぐんぐん慢性腎臓病』は、腎機能を体系的に学びたい方向け。
・『ファーストレッスン』は、まず実務で腎機能を意識できるようになりたい方向けです。特に検査値などの情報が不足しがちな薬局薬剤師にオススメできます。

まずは、それぞれの特徴を紹介します。
『薬剤師力がぐんぐん伸びる 専門医がやさしく教える 慢性腎臓病フォローアップの勘所』

『ぐんぐん慢性腎臓病』は、CKD(慢性腎臓病)を軸に、腎機能を体系的に学べる入門書です。
腎機能評価、CKD重症度分類、尿検査、血圧管理、薬物治療、患者フォローまで幅広く学べます。
「減量が必要な薬を覚える」だけではなく、
「なぜその薬を使うのか」
「何をフォローすべきか」
まで理解できる点が特徴です。
個人的には、初学者から“腎機能に強い薬剤師”を目指す方まで、長く使える1冊だと思います。
詳しく知りたい方は、下記レビュー記事をご覧ください。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 新人からベテランまでオススメ。腎機能を体系的に学び、「腎機能に強い薬剤師」を目指せる1冊です。 | |
| 実務での活かしやすさ | 患者フォローや検査値の見方など、実務につながる内容が豊富。業務で振り返りながら読むと定着しやすいです。 | |
| 自己学習への向き | 解説が丁寧で読み進めやすい本。アウトプット要素は少ないため、実務と組み合わせると効果的です。 | |
| 読みやすさ | 文章が整理されていて読みやすいです。ただし文字量はやや多く、読書習慣がない方は少し負荷を感じるかもしれません。 | |
| コスパ | 税込4,950円とやや高めですが、内容の充実度を考えると十分価格に見合う1冊です。 |
腎機能を体系的に学べる
本書の最大の特徴は、CKDを軸に腎機能を体系的に学べる点です。
腎機能評価だけではなく、
・CKD重症度分類
・尿検査
・血圧管理
・薬物療法
・フォローアップ
まで、つながりを意識して学べます。
点の知識ではなく、流れで理解したい方に向いています。
患者フォローアップまで学べる・実務に活かせる
本書は、知識だけを並べた教科書ではありません。

本を読んで、「知識は増えた気がするけど、実際の仕事で活かせている気がしない…」というのは、薬剤師の自己学習あるあるだと思います。
一方、本書は読んだ次の日から実務に活かしやすい内容が多いです。
採血や尿検査の見方だけではなく、患者への具体的な声かけや、薬剤ごとのフォローアップ方法まで記載されている点が特徴です。
初学者でも読みやすく、中級・上級者にも学びがある

本書は、読みやすい1冊です。文章はやわらかく、構成も整理されているため、初学者でも読み進めやすいと思います。
一方で、内容が浅いわけではありません。
なので、
「勉強習慣ゼロでも絶対読める本」
というより、
「少し勉強したい気持ちがある方向け」
という印象です。
もし、「まずは読み切れる成功体験が欲しい」なら、次に紹介する『ファーストレッスン』の方が向いているかもしれません。
『腎と薬のファーストレッスン』

『腎と薬のファーストレッスン』は、腎機能を実務で意識できるようになりたい方に向いている入門書です。

特に、今まで腎機能をあまり意識せず業務をしてきた方や、薬剤師になってから医療書を1冊も読んだことがない方にもオススメしたいです。
文章量や情報量も比較的コンパクトで、勉強習慣がない方でも読み進めやすい印象です。
個人的には、「まず1冊読み切る成功体験が欲しい方」に手に取ってほしい1冊です。
詳しく知りたい方は、下記レビュー記事をご覧ください。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 腎機能評価の基礎を学べる1冊。腎機能を意識してこなかった方から、知識を整理したい方まで幅広くオススメできます。 | |
| 実務での活かしやすさ | 現場で調べ物をする本ではありません。実務よりも、基礎知識を固める自己学習向きです。 | |
| 自己学習への向き | 短時間で読み切りやすく、自己学習の最初の1冊に最適。基礎固めに向いています。 | |
| 読みやすさ | 文章がやさしくコンパクト。勉強習慣や読書習慣がない方でも読み進めやすいです。 | |
| コスパ | 税込3,080円と標準的な価格帯。やさしい内容ですが、基礎を学ぶ1冊として十分価値があります。 |

腎機能を苦手から得意へ変える入門書
本書は、腎機能チェックをこれから学び始める方に向けた入門書です。
新人薬剤師やブランク明けの薬剤師はもちろん、薬学生でも理解しやすい内容で、基礎から丁寧に解説されています。
一方で、内容がやさしいだけではありません。

現場で腎機能を意識して業務をしている薬剤師でも、「なんとなく理解していた知識」を整理し直せる内容になっています。
また、本書は「基礎知識 → 総論 → 各論 → 症例」と段階的に学べる構成です。
そのため、腎機能に苦手意識がある方でも、挫折しにくい1冊だと思います。
薬局薬剤師が実務で使いやすい内容
本書の症例は、すべて外来患者を想定した内容です。
そのため、調剤薬局での業務をイメージしながら読み進めることができます。

病院のように詳細な検査値がそろっている前提ではなく、限られた情報から腎機能をどう評価するかに焦点が当てられています。
そのため、「薬局では腎機能評価は難しい」と感じている方でも、自分の業務に置き換えながら学びやすい内容です。
薬局薬剤師が実務で腎機能を意識する第一歩として、相性の良い1冊だと思います。
読みやすく、最初の1冊にオススメ
本書は全体の分量がコンパクトで、各テーマも短く整理されています。
全230ページ程度で、ゆっくり読んでも4時間ほどで読み切れる分量です。
休みの日なら1日で読み切れますし、通勤時間だけでも数日あれば十分読み切れる思います。
症例も複雑な検査値を並べる構成ではなく、限られた情報からどう考えるかに重点が置かれています。
1症例ごとの学習ポイントもシンプルに整理されているため、読みながら迷いにくいです。

個人的には、勉強習慣がない方や、まず1冊読み切る成功体験が欲しい方に特にオススメできます。
自分に合う入門書を選ぼう
ここまで読むと、

結局どっちを選べばいいの?
と思う方も多いと思います。
【『ぐんぐん慢性腎臓病』が向いている方】
・腎機能を体系的に学びたい
・CKDや尿検査なども含めて幅広く学びたい
・中級・上級になっても長く使いたい
【『ファーストレッスン』が向いている方】
・まず1冊読み切る成功体験が欲しい
・勉強習慣がない
・薬局業務をイメージしながら学びたい
・腎機能を意識した患者対応を身につけたい
どちらを選んでも間違いはありません。
2冊とも、多くの薬剤師にオススメできる良書です。
個人的には、2冊とも方向性が違うため、余裕があれば両方読んでも十分価値があると思います。

大切なのは、「どちらが良い本か」ではなく、「今の自分に合う本はどちらか」を考えることだと思います。
【知識を定着】2冊目は『腎薬ドリル』

1冊目で基礎知識をインプットしたら、次は知識を定着させる段階です。
薬剤師の自己学習では、「本を読んで満足して終わる」「セミナーや勉強会を受けて満足」ということも少なくありません。
そこでオススメしたいのが『腎薬ドリル』です。

本書は、問題を解きながら学ぶアウトプット型の自己学習本です。
読むだけでは終わらない、手を動かしながら学ぶ構成になっています。

個人的には、入門書を1冊読んだ後に読むことで、学習効率が大きく上がる1冊だと思います。
詳しく知りたい方は、下記レビュー記事をご覧ください。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 多くの薬剤師にオススメできます。特に、病院薬剤師や他の腎機能本を読んだ経験がある方に向いています。 | |
| 実務での活かしやすさ | 現場で調べる本ではありません。一方で、実務で活用できそうな一覧表も一部掲載されています。 | |
| 自己学習への向き | 問題を解きながら学ぶ完全アウトプット型。机に向かって時間を確保して学習したい方に向いています。 | |
| 読みやすさ | 文章は読みやすいです。ただし難易度はやや高く、気軽に読み流せる本ではありません。 | |
| コスパ | 税込3,630円と標準的な価格帯。知識を定着させられれば、十分元が取れる1冊です。 |
『腎薬ドリル』とはどのような本?
問題を解きながら学べるアウトプット本
本書は、基礎編と実践編に分かれています。
基礎編では、腎機能評価の基本や計算方法を学び、実践編では症例を通して知識を深める構成です。
さらに、全21章すべてに問題が用意されており、
「問題を解く → 解説を読む → もう一度解く」
という流れで学習を進めます。
そのため、単純に読むだけでは終わりません。

自分で考え、手を動かしながら学ぶことで、知識をアウトプットしながら定着できる1冊です。
腎機能を通じて、さまざまな疾患も学べる本
本書は、腎機能だけを学ぶ本ではありません。
高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、緩和医療など、さまざまな疾患を腎機能の視点から学べます。
また、症例は病院薬剤師が実臨床をもとに執筆しており、患者背景や検査値まで細かく設定されています。
そのため、
「なぜこの薬を選ぶのか」
「どこに着目するべきか」
を症例ベースで考えながら学習できます。

腎臓の勉強をしながら、他領域の知識も深められる1冊だと感じました。
初級〜中級向け。基礎知識があると学びが深まる
正直に言うと、本書の難易度はやや高めです。
問題演習形式のため、気軽に読み流せるタイプの本ではなく、しっかり時間を確保して取り組む必要があります。
一方で、解説は丁寧です。
そのため、初学者でも学べる内容ですが、基礎知識がある状態で取り組む方が、より楽しく学習できると思います。

個人的には、入門書を1冊読んだ後の2冊目としてオススメです。
自己学習で重要なのはアウトプット

私は自己学習で最も重要なのはアウトプットだと思っています。
本を読んだり、セミナーを聞いたり、勉強会へ参加したり。
どれも大切ですが、インプットだけでは「勉強した気になる」で終わってしまうことも少なくありません。
実際に患者さんを振り返る、問題を解く、トレーシングレポートを書く。
そうやって知識を使ってみて、初めて自分の知識として定着すると思っています。
その意味でも、『腎薬ドリル』のように手を動かしながら学べる本は、自己学習との相性が良いと感じました。
【さらに深掘り】3冊目は『平田の薬剤師塾』か『腎薬マネジメント』
正直に言うと、全員が3冊目まで進む必要はないと思っています。
入門書で基礎を学び、『腎薬ドリル』でアウトプットする。

多くの薬剤師は、ここまで学べば十分に実務へ活かせるレベルに到達できると思います。
一方で、実際に業務をしていると、入門書だけでは答えが出しにくい個別・具体の疑問も増えてきます。
そんな“さらに深く知りたい”と感じた方にオススメなのが、この2冊です。
どちらも難易度は高めですが、その分、実務で感じた疑問を深掘りしやすい内容になっています。
『平田の薬剤師塾 腎と薬に関する質問に真摯にお答えします』

『平田の薬剤師塾』は、腎機能に関する疑問をQ&A形式で深掘りしていく自己学習本です。
実務で感じやすい疑問を、文献や根拠をもとに丁寧に解説してくれる内容になっています。
一方で、難易度は高めです。
文章量も多く、読み進めるには一定の読解力や基礎知識が必要だと感じました。
個人的には、入門書や『腎薬ドリル』を終え、「もっと深く知りたい」と思った方にオススメしたい1冊です。
詳しく知りたい方は、下記レビュー記事をご覧ください。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 内容の質は高いですが、難易度も高め。万人向けというより、深く学びたい方向けの1冊です。 | |
| 実務での活かしやすさ | 【薬局】 【病院】 | 薬局では調べ物用途には向きません。一方で病院では、処方提案や理論武装に活用しやすい内容です。 |
| 自己学習への向き | 机に向かってじっくり取り組む自己学習向き。スキマ時間だけで読み切るのは難しい印象です。 | |
| 読みやすさ | 専門用語や難しい内容が多く、読解力が求められます。気軽に読める本ではありません。 | |
| コスパ | 税込3,850円。内容は濃いですが、読み切れるかどうかで評価が分かれる1冊だと思います。 |
Q&A形式で実務の疑問を深掘りできる
本書は、薬剤師から寄せられた質問に対して、著者が文献・研究・自身の経験をもとに回答していくQ&A形式の医療書です。
内容も、
「この投与量でいいのか」
「疑義照会すべきか」
「患者へどう説明するか」
など、実際の業務で感じやすい疑問が中心になっています。
そのため、単なる知識の羅列ではなく、現場の悩みに近い感覚で学習しやすい構成です。
また、Q&A形式なので、最初から順番に読まなくても、気になる項目から読み進めやすい点も特徴だと思います。
上級者向け。病院薬剤師の方が学びが多い
本書は、透析、抗菌薬、抗がん剤、高カリウム血症など、腎機能に関する専門性の高いテーマを扱っています。
内容も121個のQ&Aで構成されており、実務で迷いやすい疑問を深掘りできる点が特徴です。
一方で、病院で遭遇しやすい症例や注射薬、透析関連の内容も多く、個人的には病院薬剤師の方が学びは多い印象を受けました。
また、本書は基礎から順番に学ぶ教科書型ではありません。

そのため、腎機能を一から勉強したい方より、ある程度知識をつけた上で、さらに深掘りしたい方に向いていると思います。
文章にクセあり。読解力が求められる

正直に言うと、本書は「とても読みやすい」という本ではありません。
専門用語や文献情報が多く、1文1文が長い傾向にあるため、ゆっくり噛み砕きながら読む必要があります。
実際、1文が長いため、「どの単語がどの言葉を修飾しているのか分からない」と感じる場面もありました。
個人的には、内容の難しさ以上に、文章を理解しながら読み進める読解力が求められる印象でした。
一方で、すべてのQ&Aが読みにくいわけではありません。
専門性の高い内容を深く掘り下げているからこそ、時間をかけて理解する必要がある本だと思います。
そのため、気軽に読む本というより、時間を確保してじっくり向き合いたい1冊です。
『腎薬マネジメントの知恵袋 エキスパートが教える腎臓病薬物療法の投与戦略』

『腎薬マネジメントの知恵袋』も、『平田の薬剤師塾』と同様にQ&A形式で学べる自己学習本です。
それぞれのQ&Aが独立しているため、気になった項目から拾い読みしやすく、最初から順番に読む必要がない点も共通しています。
一方で、本書の特徴は情報量の多さです。

『平田の薬剤師塾』より約50ページ多く、B5判とサイズも大きいため、実際に手に取るとかなりボリュームを感じます。
そして、難易度は高いです。腎機能関連のかなり専門的な内容に触れられており、入門書や『腎薬ドリル』を終え、さらに知識を広げたい方にオススメしたい1冊です。
詳しく知りたい方は、下記レビュー記事をご覧ください。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 難易度は高めですが、入門書を終えた薬剤師には学びが多い1冊。知識の引き出しを増やしたい方に向いています。 | |
| 実務での活かしやすさ | 【薬局】 【病院】 | 薬局では自己学習向き。一方で病院では、医師への情報提供や処方提案の根拠として活用しやすい内容です。 |
| 自己学習への向き | 専門用語は多めですが、Q&Aごとに区切られており、自分のペースで少しずつ学習できます。 | |
| 読みやすさ | 難易度は高め。執筆者が多いため、読みやすさにはパートごとの差を感じました。 | |
| コスパ | 税込4,400円。内容は充実していますが、難易度も高く、最初の1冊には向かない印象です。 |
情報量が多く、ボリュームのあるQ&A本
本書の特徴は、情報量の多さです。
『平田の薬剤師塾』より約50ページ多く、B5判とサイズも大きいため、実際に手に取るとかなりボリュームを感じます。
一方で、Q&A形式で構成されているため、最初から最後まで通読する必要はありません。
気になったテーマを拾い読みしながら、自分の疑問に合わせて学習を進めやすい点も特徴だと思います。
透析・抗菌薬・小児など専門領域まで学べる
本書では、透析、抗菌薬、抗がん剤、注射薬など、専門性の高いテーマまで扱われています。
特に印象的だったのは、小児の腎機能評価まで扱われている点です。
私が読んだ腎機能関連の本の中では、小児の腎機能評価にしっかり触れていたのは本書だけでした。
腎機能低下の小児患者というのは、かなりニッチな領域であり、多くの薬剤師が日常的に遭遇することはありません。
だからこそ、小児病棟担当など、小児領域に関わる薬剤師にはオススメできる内容だと感じました。
専門性・難易度高め。病院薬剤師にオススメ
本書は全体として専門性が高く、入門書の次に気軽にオススメできる本ではありません。
透析、抗菌薬の注射、TDM、抗がん剤など、病院で遭遇しやすいテーマも多く扱われています。
そのため、薬局薬剤師にも学びはありますが、病院薬剤師の方が実務と結びつけやすい内容だと感じました。
特に、医師への情報提供や処方提案に根拠を持たせたい方には役立つ場面があるのではと想像します。
自分に合う上級書を選ぼう

正直、この2冊の立ち位置はかなり似ています。
どちらもQ&A形式で、難易度は高め。
病院薬剤師の方が学びを活かしやすく、医師への情報提供や処方提案の根拠づくりに役立つ点も共通しています。
一方で、違いもあります。
【『平田の薬剤師塾』の特徴】
・執筆者が1人で、一貫した考え方で学べる
・『腎薬マネジメント』より約1,000円安い
・続編の『平田の薬剤師塾2』が出版されている(私は未読)
【『腎薬マネジメント』の特徴】
・執筆者が多く、多角的な視点で学べる
・B5判かつページ数も多く、情報量が多い
・小児の腎機能評価に触れられている
・透析領域の内容がより充実している印象
どちらの本の方がオススメです、と優劣をつけるのは難しいと感じています。
細かい違いはありますが、どちらも“腎機能をもっと深く理解したい薬剤師”にとって、学びの多い良書です。

入門書や『腎薬ドリル』を読み切れた方には、ぜひチャレンジしてほしい上級者向けの2冊です。
【全薬剤師向け】『腎機能別投与量POCKET BOOK』は別枠
ここまで紹介してきた本は、自己学習を目的とした本でした。
一方、『腎機能別投与量POCKET BOOK』は少し立ち位置が違います。
本書は今まで紹介した“勉強する本”ではなく、“現場で使う本”です。

そして、個人的には今回紹介する中で最もオススメしたい1冊です。
私は『腎機能別投与量POCKET BOOK』が手元にないと、正直怖くて薬剤師として仕事ができません。
薬剤師必携の1冊です。なぜここまで私が本書をオススメするのか、この先で紹介していきます。
詳しく知りたい方は、下記レビュー記事をご覧ください。
| 評価項目 | 星 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 検索性・携帯性が高く、現場ですぐ調べられる1冊。個人的には薬剤師必携だと思っています。 | |
| 実務での活かしやすさ | 腎機能低下患者の処方チェックや減薬提案に有用。ただし、腎機能を意識して業務する姿勢は必要です。 | |
| 自己学習への向き | 勉強本というより実務ツール。腎機能を学ぶなら別の書籍がオススメです。 | |
| 読みやすさ | 文字は小さめですが、索引やレイアウトが整理されており、慣れると使いやすいです。 | |
| コスパ | 税込4,180円。使用頻度と重要性を考えると、価格以上の価値があると感じます。 |
勉強本ではなく、”現場で使う本”
本書は、腎機能低下患者における適正投与量を素早く確認するための実務書です。
約2,000種類以上の薬剤情報が掲載されており、内服薬だけでなく、注射薬や貼付剤、透析患者の投与量まで確認できます。
腎機能低下で減量が必要な薬だけでなく、減量不要な薬まで掲載されています。
そのため、腎機能低下を疑った患者がいた場合、処方薬のほとんど全てを検索できると思っていいです。
一方で、本書は腎機能を基礎から勉強する本ではありません。
「この薬、減量必要だっけ?」を現場ですぐ確認するための、“使う本”です。
安全な薬物療法を支える1冊
腎機能を意識した処方監査は、安全な薬物療法を行ううえで欠かせません。
特に高齢者では、腎機能低下に応じた用量調整が必要になる場面も多く、本書があることで迅速に確認できます。
添付文書に腎機能低下時の具体的な用量調整が記載されていない薬も少なくありません。

正直、私は本書がないと、高齢者に自信を持って薬を交付できません。
疑義照会や減薬提案につなげるためにも、日々の業務を支えてくれる1冊です。
検索性高く、用量調節も一目で確認できる
本書は検索性が高く、必要な情報にすぐアクセスできる構成になっています。
特に索引が本の前方に配置されていることがポイントです。実際、現場で使用していて、とても使いやすいと感じています。
見開き構成になっており、左ページに通常用量、右ページに腎機能低下時の投与量が整理されています。
用量調整が必要かどうかを一目で確認しやすい点も、本書の大きな特徴です。
【まずは安全】腎機能を調べられる環境を作ろう
腎機能を勉強することは大切です。
しかし、勉強するだけでなく、実際の業務で腎機能を意識し、調べながら対応する環境を作ることの方が重要だと思います。
正直、腎機能関連の知識をすべて覚えるのは現実的ではありません。
だからこそ、必要な時にすぐ調べられる環境を整え、安全に薬物療法を行うことが大切です。
自己学習で知識を増やし、実務で使いながら定着させる。

勉強と実践。この両輪を回しながら、腎機能に強い薬剤師を目指していきましょう。
【読者別】あなた向けたオススメロードマップ

まず前提として、『腎機能別投与量POCKET BOOK』は全員が業務中に確認できる環境を作ってください。

はい。全員です(笑)
勤務先の薬局や病院に置いてあるなら問題ありません。
ただ、置いていないなら、個人的には購入を強くオススメします。
そのうえで、ここからは読者ごとに、どの本から読み始めるべきかを整理してみました。
自分に近い立場を探しながら、ロードマップを見ていただければと思います。
H3 新人・復職薬剤師
・1冊目:『腎と薬のファーストレッスン』
・2冊目:『ぐんぐん慢性腎臓病』
・3冊め:『腎薬ドリル』
このロードマップは、新人薬剤師というより、「これまで勉強習慣がなかった方」に向けた内容です。
『腎と薬のファーストレッスン』は、本当に読みやすく、コンパクトにまとまった参考書です。

正直、この本が読めない人は、本での学習は諦めた方がいいと思います(苦笑)。
そして『ぐんぐん慢性腎臓病』は、初学者から長く使える腎機能のバイブルになる1冊です。
「入門書を2冊も読むの?」と思うかもしれません。

ただ、実際に読んだ私としては、この2冊をしっかり理解できれば、勤務先でもトップクラスに腎機能に強い薬剤師になれると思います。
その後、余裕があれば『腎薬ドリル』を提案しますが、正直、腎機能ばかり勉強する必要性は低いかなとも思います。
薬剤師が学ぶべき領域は本当に多いです。
入門書2冊で基礎を固めたら、循環器や小児科など、別領域の勉強にも挑戦してみてください。
中堅以上の薬局薬剤師
・1冊目:『ぐんぐん慢性腎臓病』
・2冊目:『腎と薬のファーストレッスン』
・3冊目以降:レベルと必要に応じてどうぞ
まず1冊目は、王道の腎機能本である『ぐんぐん慢性腎臓病』です。
本書をしっかり読み込めれば、自信を持って「腎機能に強い薬剤師」と言っていいレベルだと思います。
2冊目として『腎と薬のファーストレッスン』を推す理由は、薬局薬剤師向けの視点が強いからです。
薬局では、病院ほど検査値や詳細な患者情報がそろわないことも多いです。
そのような環境の中で、どう腎機能を評価し、何を確認するべきかという“薬局の現場目線”を学べます。
その後は、ご自身のレベルや実務で困った内容や興味に合わせて進めれば十分だと思います。
中堅以上の病院薬剤師
・1冊目:『ぐんぐん慢性腎臓病』
・2冊目:『腎薬ドリル』
・3冊目:『平田の薬剤師塾』or『腎薬マネジメント』
まず1冊目は、王道の腎機能本である『ぐんぐん慢性腎臓病』です。
病院薬剤師であっても、まずは腎機能評価の基礎を体系的に整理することが重要だと思います。
2冊目は『腎薬ドリル』です。
病院では、透析、注射薬、TDM、抗菌薬など、腎機能を実践で使う場面が多くあります。
そのため、症例を通じてアウトプットできる本書は、病院薬剤師と相性が良いと感じました。
さらに深掘りしたい方は、『平田の薬剤師塾』や『腎薬マネジメント』に進みましょう。
病院では、医師への情報提供や処方提案に根拠を求められる場面も多いです。
上級書まで読み込めれば、腎機能をより深く理解し、提案の引き出しも増えていくと思います。
管理薬剤師(マネジメント目線)
・1冊目:『腎機能別投与量POCKET BOOK』
・2冊目:『ぐんぐん慢性腎臓病』
管理薬剤師にまず必要なのは、自分が勉強すること以上に、店舗全体で安全に処方監査できる環境を作ることだと思います。
そのため、まずは『腎機能別投与量POCKET BOOK』です。
ご自身の薬局に『腎機能別投与量POCKET BOOK』が置いていない場合は、今すぐポチってください!!
……冗談です(笑)

でも、本当に早めに上司へ申請し、会社の経費で購入して薬局に置くことをオススメします。
自分だけでなく、スタッフ全員が腎機能を確認できる環境を作ることで、店舗全体の安全性向上につながります。
そのうえで、『ぐんぐん慢性腎臓病』を読み、腎機能評価の考え方を体系的に整理するのがオススメです。
管理薬剤師は、自分が理解するだけでなく、「なぜこの患者で減量が必要なのか」をスタッフや新人薬剤師へ説明する場面も増えます。

知識と環境整備の両方を意識すると、より安全で強い薬局運営につながると思います。
まとめ【腎機能に強い薬剤師を目指そう】
ここまで、腎機能を学ぶためのロードマップを紹介してきました。
紹介した本も多く、長くなってしまいました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
最後にロードマップを簡単に振り返ります。


私は、腎機能評価は薬剤師に求められる能力の“一丁目一番地”だと思っています。
もし薬剤師1年目の方に、

何から勉強すればいいですか?
と聞かれたら、私は迷わず、

まずは腎機能から
と答えます。
患者さん全体の3人に1人は後期高齢者です。腎機能の知識が必要ない薬剤師はいません。
一方で、腎機能は難しい領域でもあります。
だからこそ、最初から完璧を目指さず、自分に合った1冊を選び、少しずつ学んでいくことが大切です。

自己学習と実務、この両輪を回しながら、腎機能に強い薬剤師を目指していきましょう。









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