
今回は薬物動態がテーマの本をレビューします。
薬物動態は、国家試験で一通り学んだものの、実際の業務で患者さんに説明することが少ないので、だんだん忘れていってしまいますよね。しかし、薬剤師としての強みの一つは、薬物動態を理解していることにあると考えます。

特に、医師への提案や患者さんへの説明において、薬物動態を基にした根拠を示すことで、説得力が増します!
今回紹介する『どんぐり未来塾の薬物動態マスター術 第2版』は、現場で実際に活用するための知識を深めるための参考書です。
現場に置いておく本というよりは、自己学習用に最適。半減期や定常状態などの薬物動態を、実際のケースでどのように考え、活かすかを学べます。また、薬物動態が副作用の考察にも活用できることが記載されており、実務で使える内容がしっかりと詰まっています。
一方で、腎機能や母乳移行率の手計算についても紹介されていますが、これらはあくまで自己学習用として位置づけられると考えます。現場では計算ツールを使うことが多いため、『腎機能別薬剤投与量POCKET BOOK』や『妊娠と授乳』の方が役立つかもしれません。
私は本書を読んで、患者さんに薬の説明をする際の幅が広がりました。特に、トレーシングレポートで医師に処方提案する際には、自信を持って提案できるようになりました。
薬物動態を理解することは、薬剤師としての実力を高める大きなポイントです。勉強に少しでも不安がある方は、ぜひこの本を手に取ってみてください。
評価項目 | 評価 | ポイント |
読みやすさ | ・図や表が多く、ビジュアル的に見やすい ・1つの段落が短く、文章が読みやすい ・「POINT」や「アドバイス」といった色分けされた装飾が多く、読みやすい | |
実務での 活かしやすさ | ・現場に置いておく本ではなく、自己学習用の参考書 ・半減期や定常状態など実務ですぐに役立つ知識を学べる ・動態の手計算や薬物排泄経路の見極めなど、現場で瞬時に使わない内容もある | |
専門性のレベル | ・薬剤師なら問題なく読める内容(専門用語を調べながら読む必要なし) ・薬学生や他職種には少し難しい部分もある | |
コスパ | ・薬の参考書としてはリーズナブルな価格 |
著者
本書の執筆者は、佐藤ユリ氏と麻生敦子氏です。
佐藤氏は「どんぐり未来塾」の代表理事、麻生氏は副代表理事を務めています。
どんぐり未来塾は薬剤師向けの学習コンテンツを提供する団体です。薬剤師向けのセミナーや書籍の出版を通じて、日々の業務に役立つ知識を提供されています。
そんなお二人が手がけた本書は薬剤師が実務で活かせる薬物動態の知識を学ぶのに最適な一冊です。
本書の特長
薬物動態を実務に活かせる内容
本書は、薬物動態を実務に活かすための具体的な考え方を学べる点が大きな特徴です。
半減期や定常状態を単なる理論ではなく、実際の処方監査や患者対応でどのように考えるべきなのかを学ぶことができます。
また、本書が1番伝えたいことは「副作用機序別分類」という、副作用の考察方法だと感じました。副作用機序別分類については後述します。
自己学習に最適な作り
本書は現場に置いておくための本というよりも、薬剤師がスキルアップのために学ぶことを目的とした自己学習向けの参考書です。
薬物動態の本らしく、腎機能や母乳移行率などの計算方法も紹介されています。ですが、私自身は実務ではネットで計算ツールを活用することが多いので、あくまで、自己学習用の内容だと思います。
視覚的にわかりやすいレイアウト
図や表が多く用いられているため、視覚的に情報が整理されており、とても読みやすい構成になっています。
「POINT」や「アドバイス」といった見出しで強調されており、重要な部分もわかりやすいです。
専門書なのに難しすぎない
専門書ではあるものの、内容が難しすぎることはなく、薬剤師であれば、無理なく理解できるレベルにまとめられています。
ただし、薬物動態をまったく学んだことがない薬学生や他職種の方だと難しく感じる部分もあるかもしれません。
具体的な事例・ケーススタディが豊富
すべての単元が実際のケースを想定して構成されています。患者さんからの質問で薬物動態をどう活用していくのか、という観点で読んでいくことができます。
また、最後の単元は「実例を見てみよう」という単元で、11個の症例が記載されています。この単元を読むだけでも有益な知識が身につくと思います。
単元ごとに練習問題がある
各単元の最後に練習問題があり、理解度をチェックしながら読み進めることができます。インプットだけでなく、アウトプットの機会もあるため、自己学習用の本として最適です。
副作用機序別分類
本書の中でも特に重要であり、ぜひ紹介したいのが「副作用機序別分類」の考え方です。以下、本書からの引用を交えながら、その内容を紹介します。
副作用機序別分類とは【薬理作用・薬物毒性・アレルギーに分けて考える】
副作用機序別分類とは、副作用を発生の仕組みに基づいて「薬理作用」、「薬物毒性」、「薬物過敏症(アレルギー)」の3つに分ける考え方です。これにより、副作用の発現を予測しやすくなり、患者さんへの説明や服薬指導に役立ちます。
例えば、血圧を下げる薬でふらつきが起こるのは「薬理作用」、長期間の服用で肝障害が出るのは「薬物毒性」、抗生剤で発疹が出るのは「薬物過敏症(アレルギー)」に分類されます。それぞれの特徴を理解することで、副作用のリスクを事前に把握し、適切な対応を取ることが可能になります。
薬理作用による副作用

薬理作用による副作用とは、薬が本来持っている作用が、意図した以上に強く出たり、別の形で現れたりすることで起こる副作用のことです。
例えば、血圧を下げる薬を服用した際に、効果が強く出すぎて低血圧になる場合があります。また、抗うつ薬の一部では、脳内の神経伝達物質に作用することで、眠気やめまいといった副作用が生じることがあります。
このタイプの副作用は、薬の作用機序を理解することで、ある程度予測が可能 です。そのため、服薬指導の際には「この薬はどのような仕組みで効くのか?」を意識し、副作用の可能性について患者さんに適切に伝えることが大切です。
薬理作用による副作用は、さらに ①期待される薬理作用が過剰に発現する副作用、②副次的な薬理作用による副作用、③薬理作用がなくなることで生じる副作用 の3つに分類できます。それぞれ詳しく説明します。
①期待される薬理作用が過剰に発現する副作用
本来の治療目的と同じ作用が、過剰に現れてしまうことで起こる副作用です。
血圧を下げる薬(降圧薬)→ 血圧が下がりすぎて低血圧になる
血糖を下げる薬(糖尿病治療薬)→ 血糖が下がりすぎて低血糖になる
このタイプの副作用は 薬の用量や体質によって影響を受けるため、慎重な投与設計や適切なモニタリングが重要です。
②副次的な薬理作用による副作用
薬が本来の目的とは 異なる作用を引き起こすことで発生する副作用です。
抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)→ 眠気が出る(中枢神経に作用するため)
抗精神病薬→口渇・便秘(抗コリン作用による副作用)
このタイプの副作用は薬の作用範囲や影響を考慮することで予測が可能です。
服薬指導では、患者さんに事前に伝えておくことが大切になります。
③薬理作用がなくなることで生じる副作用
薬の効果が急になくなることで、体が適応できずに症状が出る タイプの副作用です。
抗うつ薬(SSRI)→ 服用を急に中止すると離脱症状が出る(脳内の神経伝達物質バランスが急激に変化するため)
ステロイド薬を長期間使用した後に急に中止 → 副腎機能低下(離脱症状)
このタイプの副作用を防ぐには、薬の減量を段階的に行う(漸減) ことが重要です。
急な中止がリスクになる薬は、指導時に注意喚起を行う必要があります。
以上の①〜③のように、薬理作用による副作用は薬の特性を理解することで、ある程度予測しやすいものが多いです。患者さんへの適切な説明やモニタリングを行うことで、副作用の発生を最小限に抑えることができます。
薬物毒性による副作用

薬物毒性による副作用は、薬が特定の臓器に蓄積したり、消化管や血管などを通過する際に直接刺激を与えることで生じる副作用です。
これは、薬の治療効果とは関係なく発生することが多く、服用量や投与期間、患者の体質が影響する。
肝臓への毒性
薬物が肝臓に過剰に蓄積することで、肝細胞が障害され、肝機能が低下します。
例:アセトアミノフェンの過量投与 → 肝細胞の壊死や肝炎症状
腎臓への毒性
腎臓で薬が十分に排泄されない場合や、腎組織に直接蓄積することで腎障害が起こります。
例:アミノグリコシド系抗菌薬 → 腎機能低下(急性腎障害)
消化管への毒性
薬が消化管粘膜に直接接触することで、粘膜を刺激し、胃痛や潰瘍が発生します。
例:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) → 胃粘膜障害や胃潰瘍
予防と対策
薬物毒性による副作用は、定期的なモニタリングや、肝臓・腎臓機能の検査を通じて早期発見が可能です。消化管毒性については、食後服用や胃保護薬の併用が推奨される場合もあり、患者ごとに適した対応が必要。投与期間の管理や、適切な投与設計が副作用のリスクを減らすカギとなります。
薬物過敏症(アレルギー)による副作用

薬物過敏症による副作用は、免疫系が薬を異物と認識して過剰に反応することで起こるアレルギー反応です。
少量の薬でも発生することがあり、発疹やじんましんといった軽い症状から、呼吸困難を伴う重い症状までさまざまです。個人差が大きく、誰にでも起こるわけではありません。
また、薬物過敏症では、構造が似た薬同士で交差反応が起こることがあります。特に有名な例が、ペニシリン系抗生物質とセフェム系抗生物質(セファロスポリン系)です。これらは化学構造が似ている(βラクタム環をもつ)ため、ペニシリンにアレルギーを持つ人がセフェム系でもアレルギー反応を起こすことがあります。アレルギー歴を確認した上で、対象の患者の場合は医師と連携して代替薬を検討することが重要です。
過去にアレルギー反応を起こした薬を事前に確認し、その薬と構造が似た薬にも注意する必要があります。薬を処方する際は、交差反応のリスクがある場合、代わりの薬を選んだり、少量から慎重に投与するのが基本です。また、重篤な症状(アナフィラキシー)が出た際には、直ちに薬を中止し、アドレナリン注射などの緊急対応が必要です。
患者には、過去にアレルギーを起こした薬の情報を常に伝えることや、異常があればすぐに報告するよう指導すると、より安全な服薬につながります。
副作用機序別分類のまとめ
副作用は、その発生メカニズムに基づいて「薬理作用」、「薬物毒性」、「薬物過敏症(アレルギー)」の3つに分類されます。それぞれに特徴があり、適切な対策を取るためにはこの分類を理解しておくことが重要です。
しかし、すべての副作用がこの3つに明確に分類できるわけではありません。

中には原因がはっきりしない副作用もあり、そういった副作用は「機序不明」として分類するよう本書では説明されています。
そのため、副作用が疑われる症例が出た時のために、薬歴の記録を丁寧に残し、定期的なモニタリングを行いながら、日々の業務にあたることが重要です。
副作用機序別分類を活用することで、副作用の予測や早期発見がしやすくなり、患者さんへの説明や医師への情報提供の際にも説得力が増します。ぜひ、この知識を覚えて欲しいと思います。
本書が実務に活きた具体例

皆さんは、定常状態を説明できますか?
薬剤師であれば、定常状態という言葉を聞いたことがないという人はいないと思います。ただ、定常状態をまったく知らない一般の患者さんにわかりやすく説明しろと言われると、あまり自信がないという薬剤師の方も多いのではないでしょうか。
定常状態とは【薬の効き目が安定するタイミング】
定常状態とは、薬が体内に吸収される量と排出される量が釣り合い、血中濃度が一定の範囲で安定する状態のことを指します。
簡単に言えば、「薬の効き目が安定するタイミング」です。この状態になると、薬の効果が持続しやすく、副作用のリスクも予測しやすくなります。
通常、薬が定常状態に達するまでには、その薬の消失半減期の5倍の時間がかかるとされています。
ただし、すべての薬が定常状態に達するわけではなく、半減期や投与間隔によって、定常状態がある薬と定常状態がない薬があります。この違いを理解しておくことで、薬の効果的な使い方や、副作用のリスク管理に役立てることができます。
定常状態のある薬とない薬の判断方法【トーハンと覚える】
定常状態がある薬とない薬を判断するためには、投与間隔と消失半減期を比較する方法が一般的です。
① 投与間隔 ÷ 消失半減期 の値を計算

この式を私は、「トーハン」と呼んで覚えています。
トー(投与間隔) ÷ ハン(半減期) の略です。
さらに、「トーハン」という言葉は、登録販売者を意味する「登販」とも似ているため、薬剤師や医療関係者にとって覚えやすいと思います。この覚え方を使えば、計算式がすぐに頭に浮かび、実務での判断がスムーズになります。
②トーハンの値が「3以下で定常あり」、「4以上で定常なし」
トーハンの結果が以下の基準に該当するかで判断します。
値が3以下の場合:定常状態がある薬
値が4以上の場合:定常状態がない薬
1. 定常状態がある薬の例:アムロジピン
投与間隔:24時間(1日1回投与)
消失半減期:35.4時間
トーハンの計算:24時間 ÷ 35.4時間 = 0.68 (3以下)
アムロジピンは服用開始から約7日後(消失半減期の5倍の時間)に定常状態に達し、安定した効果が得られます。
2. 定常状態がない薬の例:ロキソプロフェン
投与間隔:8時間(1日3回投与)
消失半減期:1.25時間
トーハンの計算:8時間 ÷ 1.25時間 = 6.4 (4以上)
ロキソプロフェンは半減期が短く、定常状態に達する前に効果が消失するため、一時的な症状緩和を目的とした即効性の薬として使用されます。
定常がある薬の体からの消失時間【半減期の5倍時間】
消失時間とは、薬が体内からほぼ完全に排出されるまでの時間を指します。一般的には、薬の消失半減期(t1/2)の5倍が消失時間の目安とされています。
半減期とは、薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。1回半減期が過ぎると薬の濃度は1/2になり、さらにもう1回過ぎると1/4、次は1/8とどんどん減っていきます。そして、4回目で1/16、5回目には1/32まで減少します。この1/32という濃度は、ほとんど薬の効果がなくなった状態と考えられるため、半減期の5倍の時間が経過すれば体内から薬がほぼ完全に消失したとみなします。これが、消失時間の目安となる理由です。
薬の効果が安定するまでの定常状態と、薬が体内からほぼ完全に消失するまでの消失時間には、共通している重要なポイントがあります。

それは、どちらも半減期の5倍の時間が目安となることです。
「半減期の5倍の時間」という考え方は、薬の効果や消失を予測する上で非常に重要なポイントです。実務で役立つ知識なので、この基準はぜひ覚えておきましょう。
アムロジピンとバルサルタンの併用【中止するのはバルサルタンから】
処方内容
アムロジピン5mg 1錠 1日1回 朝食後
医師コメント「血圧100切ったら中止」
バルサルタン20mg 1錠 1日1回 朝食後
医師コメント「血圧100切ったら中止」

血圧が100以下になったら2剤ともやめるの?
一気に辞めたら血圧が急上昇しそうで怖いんだけど…
ここで、薬の消失時間や定常状態の知識が役立ちました。
アムロジピンは消失半減期が約35.4時間で、約7日間かけて血中濃度が安定(定常状態に達し)、中止後も約7日間かけて徐々に効果がなくなります。
バルサルタンは消失半減期が約4~6時間で、比較的早く効果がなくなります。

アムロジピンは体内に長くとどまり、中止してもすぐに効果がなくなるわけではありません。
一方で、バルサルタンは効果が短時間で消えるため、まずはバルサルタンを先に中止し、血圧の変動を確認してください。
その後、血圧の様子を見ながら必要に応じてバルサルタンを再開するか、アムロジピンを中止するか判断します。
このケースは、半減期の長い薬と短い薬の組み合わせにおいて、どちらを優先的に中止すべきかを判断するために、本書の半減期の知識が役に立ちました。
本書を読んで感じたこと
実務に薬物動態の知識は役立つ
この本を読んでから、処方箋の見方が変わったと感じます。
以前は何気なく見ていた薬の投与スケジュールも、今では「この薬は定常状態に達するまでどれくらいかかるのか?」と意識するようになりました。
例えば、患者さんに対しても「効果が最大化されるのに1週間くらいかかるので、飲み始めてすぐに効果がないからといって自己判断で中止しないでください」といった声かけができるようになり、服薬指導の質が変わった実感があります。
「0-100」の考え方は危険【学んだことがすべてではない】
「アムロジピンは定常に達するまで7日間程度かかる」と学びましたが、それは「アムロジピンは7日間飲まないと、効果がない!」ではありません。
勉強すると、学んだ知識が絶対に正しい!といった感覚になることがあります。でも実際にはアムロジピンの頓用指示が処方されるケースも少なくなく、それで効果が出ているという患者さんも多いです。
現場では患者一人ひとりの状況に応じた臨機応変な対応が求められます。
本書は自己学習用【現場には『腎機能別薬物投与量ポケットブック』を】
腎機能や母乳移行率などを添付文書の情報から手計算する方法も紹介されていますが、正直なところ、現場ではネットの計算ツールや実用的な他の書籍を使う方が便利です。
たとえば、『腎機能別薬物投与量ポケットブック』や『妊娠と授乳』を薬局に常備しておけば、添付文書を見直す手間を省き、即座に必要な情報にアクセスできます。
本書で学んだ知識は、単なる知識の蓄積ではなく、その知識をいかに現場の状況に応じて、柔軟に使うかが重要だと思いました。薬剤師としての判断力を鍛えるために、本書はとても有用です。
どんな人にオススメか
新人薬剤師(実務経験が浅い方)
国家試験に合格して間もない新人薬剤師の方は、薬物動態の計算方法などの基礎知識はベテラン薬剤師よりもしっかりと理解していると思います。ただ、その動態の知識を現場でどのように活かすかという経験が不足しています。本書は、定常状態や半減期の知識を実際の場面でどのように使えばよいかを具体例とともに丁寧に解説しています。
また、動態の基本知識がある分、難しく感じることなくスムーズに読み進めることができると思います。学びながら即実務に活かせるのが大きなメリットです。新人薬剤師が自信を持って現場で動けるようになるための心強い一冊です。
勉強方法がわからない薬剤師
国家試験以降、体系的に勉強する機会がなかったり、どこから学べばよいか分からない方にもピッタリです。分かりやすい図表や具体的なケーススタディが多く、自然と実務に役立つ知識が身につくので、効率的に学び直しができます。
薬の知識を得たいと思っている看護師や他職種
薬剤師でなくても、薬物動態の基本知識が身につけば患者へのケアや医師との連携がスムーズになります。本書は専門的な内容を平易な言葉で解説しているため、薬の知識が浅い他職種の方でも理解しやすい内容です。
日々の服薬指導に自信をつけたい薬剤師
患者さんへの説明や医師への提案に、根拠を持って対応できるようになりたい方にオススメです。本書は定常状態や半減期など、実務で使える知識が多く、トレーシングレポートや疑義照会の際にも説得力を高めてくれます。
まとめ【現場で活きる知識を身につけるために】
『どんぐり未来塾の薬物動態マスター術 第2版』は、単なる知識の詰め込みではなく、その知識を実際の現場でどう活かすかを考えながら学べる参考書です。定常状態や半減期といった基本的な動態の知識が、服薬指導や処方提案などの具体的な場面でどのように役立つかが丁寧に説明されており、読むほどに「これを現場で試してみよう」と自然に思える内容になっています。
また、薬剤師として知識を身につける際の注意点として、「0-100のような極端な考え方に陥らないこと」も実感させてくれます。知識を得たからこそ見えてくる柔軟な対応の重要性を、本書を通じて学び直すことができました。
現場でそのまま使える知識も多いですが、手計算のような内容はあくまで自己学習用としての位置づけです。実務では、計算ツールや『腎機能別薬物投与量ポケットブック』などと組み合わせて使うのが効率的だと感じます。
薬物動態の知識が実務でどれだけ力を発揮するかを知っている薬剤師にはもちろん、今から動態の知識を現場で活かしたいと考えている薬剤師にもオススメの一冊です。日々の業務に不安を感じた時、手元に置いておきたい参考書としてぜひ活用してみてください。
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