メンタル処方の理解を”深める”1冊【『薬剤師のための精神科の薬』レビュー】

本の比較
のしん
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あなたは“5大精神疾患”を挙げてくださいと言われて、すぐに答えられますか?

のしん
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抗不安薬・睡眠薬、抗精神病薬、抗うつ薬は原則“2剤まで”という診療報酬上のルールを知っていますか?

それらに自信を持って「はい」と言えず、

薬剤師<br>
薬剤師

精神科の処方って5~6種類のメンタルの薬が出ていることも普通にあるよね。

と感じている方も多いのではないでしょうか。

一方で、精神科の薬の作用機序や分類は、なんとなく頭に入っている

でも、それを実際の症例や処方と結びつけて理解できているかと言われると、自信がない。

のしん
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私自身も、まさにその状態でした。

今回は、そんな「ある程度は知っているけど、整理しきれていない」と感じている薬剤師に向けて、自己学習用としてオススメしたい1冊『薬剤師のための精神科の薬 処方の意図を読む』をレビューします。

本記事では、本書を使って勉強した私が、本書の特徴や学んだことオススメできる人などをまとめています。

スキマ時間で流し読む本ではありません。

のしん
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ぜひ私と同じように机に座って、本書を開き、調べながら読み進めてみてください。

評価項目評価ポイント
総合評価3.0精神科の基本を学んだ上で、改めて勉強したい薬剤師や色々な症例を見てみたい薬剤師にオススメです。一方で、現場ですぐに使える実践書や患者対応のテクニックを求めている方には向きません。本書は自己学習用の本です。
実務での活かしやすさ2.0本書は自己学習用の本です。現場で開くイメージはほとんどありません。ただし「統合失調症に対して使われる非定型抗精神病薬の主な特徴」という表は唯一現場で活用できます。この表の存在があるため評価を1つ上げています。
自己学習への向き4.0机に座り、わからない用語や作用機序を調べながら読み進めることで、精神科領域の基本的な疾患や薬を自分の中に落とし込める構成です。ただし、通勤時間などのスキマ時間読書には向かないと思います。
読みやすさ3.0約200ページ弱でボリュームはちょうど良く、文章も丁寧です。ただし専門用語が多く、精神科薬のある程度の知識があることを前提に説明が省略されていると感じる箇所もあります。
コスパ2.0税込4,950円。医療書としてはやや高めの価格帯です。本書をしっかり読み込み知識を自分のものにできる薬剤師にとっては安いと思います。一方で、序盤で「理想論だ」と感じて読むのをやめてしまう人にとっては、もったいない価格になります。

【のしんの一言】

のしん
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知識を活かせるかどうかは、“自分次第”ではなく“環境次第”かもしれません。

もし今の職場に違和感があるなら、一度こちらの記事も読んでみてください。

▶︎ 学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら

【机に座って開きたい精神科の参考書】『薬剤師のための精神科の薬』はどのような本なのか?

本書は、実際の現場では「何のために飲んでいるのだろう」と曖昧に扱われがちな精神科領域の薬を、具体的な症例を通して学び直せる参考書です。

のしん
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現場でサッと開く実践書というよりも、机に座り、考えながら読み進める1冊だと感じました。

どのような特徴があるのか、順番に整理していきます。

症例ベースで5大精神疾患とその治療薬を学べる本

本書では、全36例の症例を通して精神科領域を学ぶ構成になっています。

扱われているのは、

①大うつ病性障害(うつ病)

②双極性障害

③神経症性障害(神経症)・心身症

④統合失調症

⑤認知症

という、いわゆる“5大精神疾患”です。

それぞれの疾患について、処方内容だけでなく、患者背景や症状の経過も踏まえて解説されています。

単に薬の名前を覚えるのではなく、「なぜこの薬が選ばれているのか」を症例を通して考える構成になっている点が特徴です。

精神科の処方は多剤併用になりやすく、薬の意図が見えにくいこともあります。

のしん
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本書は、そうした処方の背景を1つ1つ想像できるようになる教材として活用できる1冊だと感じました。

現場で使う本ではなく、自己学習に特化した1冊

本書は、現場でサッと開いて疑問を解決するタイプの本ではありません。

処方箋を見ながらその場で答えを探すというよりも、あらかじめ机に向かって知識を得るための自己学習用の参考書です

ただし、例外的に「統合失調症に対して使われる非定型抗精神病薬の主な特徴」をまとめた1ページの表は現場でも使えると感じました。

主要な薬剤の特徴が簡潔に整理されており、「この薬ってどんな薬だっけ?」と確認したい場面で役立ちます。

のしん
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本書を手に取った方は、ぜひこの表をコピーして監査台に置いてほしいです。

スキマ時間読書ではなく、机に向かってじっくり学ぶ本

本書はB5判(約25.7cm × 18.2cm)の教科書サイズです。片手で気軽に持ち歩くというより、机に広げて読むタイプの参考書だと感じました。

内容的にも、スキマ時間向きとは言えません。専門用語や薬の作用機序を前提に話が進みます。

・SSRI

・気分安定化薬

・非定型抗精神病薬

のしん
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上記のような分類を聞いたときに、具体的な薬品名やその作用機序がすぐに思い浮かばない方は、本書だけで読み進めるのは難しいと感じるかもしれません。

通勤時間にサッと読む本ではありません。

ペンと紙を横に置き、わからない部分をその都度調べながら、机に向かってじっくり取り組むのが合っている1冊です。

患者対応などのテクニック本ではなく、処方の意図を考えるための参考書

本書は、「心療内科の患者さんにはこう接しましょう」といった患者対応のテクニックを学ぶ本ではありません。

服薬指導のフレーズ集や、コミュニケーションのコツをまとめた実践書とも少し違います。

精神科の処方は、多剤併用になることも少なくありません。

・どの薬が何の目的で処方されているのか?

・そもそもこの患者さんが抱えている疾患名は何なのか?

のしん
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そうした疑問を十分に整理しないまま、「継続してください」と交付している薬剤師も多いのではないでしょうか。

本書は、そうした曖昧さを一度立ち止まって見直すための参考書です。

症例を通して疾患の特徴や経過を整理し、「なぜこの薬が選ばれているのか」を考える構成になっています。

のしん
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処方を“作業として処理する”のではなく、その背景を読み取ろうとする姿勢を促してくれる1冊だと感じました。

薬局薬剤師向けに書かれているが、病院薬剤師にも学びがある本

本書の症例は、すべて薬局の窓口でのやり取りをもとに構成されています。

そのため、日々外来処方に向き合っている薬局薬剤師にとっては、具体的な場面をイメージしやすい内容になっています。

一方で、扱われているのは疾患の特徴や薬物治療の考え方といった基礎的かつ本質的な部分です。

のしん
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病院薬剤師であっても、精神科病棟や外来での薬物治療を考えるうえで十分に学びがある内容だと感じました。

症例の舞台は薬局ですが、学べる内容は職場を問いません。

精神科領域の処方をより深く理解したいと考える薬剤師であれば、立場に関わらず読んでみる価値のある1冊です。

【よかった点・気になった点】『薬剤師のための精神科の薬』を読んだ感想

実際に本書を読み進める中で、強く印象に残った点と、少し引っかかった点の両方がありました。

のしん
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ここでは、率直な感想として「よかった点」と「気になった点」を整理します。

冒頭の「本書の使い方」が親切だと感じた

本書の冒頭には「本書の使い方」というページが設けられています。

ここで、本書をどのように活用するのか、本書をどのように読み進めていくのかが丁寧に示されています。

単に目次を紹介するのではなく、「概要を押さえてから症例に入ると理解が深まること」や「興味のある疾患から読んでもよいこと」など、読み進め方まで丁寧に書かれています。

のしん
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“とりあえず読んでみる”のではなく、“どう読めば本書を効率よく活用できるのか”まで示されている点が印象的でした。

自己学習に慣れていない方にも配慮された説明だと感じました。

(気になった点)理想論に感じる部分もあった

本書の症例は、患者や家族が薬剤師に丁寧に状況や病名を説明してくれる形で描かれています。

処方の背景や症状の変化が整理されており、学習用としては非常に理解しやすい構成です。

一方で、実際の薬局窓口ではここまで詳しく語ってくれる患者さんばかりではありません。

また、多剤併用について積極的に疑義照会してほしいというメッセージも示されていますが、その点には正直戸惑いもありました。

精神科の処方は、医師と患者との診察の中でさまざまな経緯を経て決まっているものです。

十分な背景を把握していない薬剤師が「薬が多すぎるのではないか」と伝えた場合、処方の批判と受け取られる可能性もあるのではないか、と想像しました。

のしん
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理想としては理解できる提案であっても、現実の診療関係の中では慎重さが求められる場面もある。

その点で、現場とのギャップを感じたのは正直な感想です。

(気になった点)もう少し説明がほしいと感じた部分もあった

のしん
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読み進める中で、もう少し補足があれば理解しやすいと感じた箇所もありました。

例えば、「三環系抗うつ薬の長期投与におけるアドレナリンβ受容体、セロトニン受容体のダウンレギュレーションが起こる」という記述です。

ダウンレギュレーションという言葉の意味を理解していないと、この文章は理解できません。

のしん
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用語の意味を調べ直して初めて、文章の意図が理解できました。

後ほどの見出しでダウンレギュレーションについて解説します。

他にも、「クエチアピンはアリピプラゾールよりもパーキンソニズム、アカシジア、遅発性ジスキネジアが出にくい」という記述も気になりました。

副作用が出にくいという点は理解できますが、その周辺にアリピプラゾールのメリットが十分に説明されていません。

その章だけを読むと「クエチアピンの方が優れている薬なんだ」「アリピプラゾール飲む理由ないのでは?」と受け取られてもおかしくないと感じました。

のしん
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本書は『薬剤師のための精神科の薬』というタイトルですが、著者の「薬剤師ならこれくらいは知っているよね?」という前提知識のレベルが少し高いなと感じました。

しかし、その“少し背伸びを求められる感覚”こそが、本書の特徴でもあるのかもしれません。

それが自己学習の強みでもある

前提知識が求められ、立ち止まる場面があることは、読み手によっては負担に感じるかもしれません。

のしん
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しかし私は、それこそが本書の自己学習としての強みでもあると感じました。

わからない用語が出てきたら調べる。作用機序が曖昧であれば、もう一度整理する。その薬が選択されている理由が分からなければ、それも調べる。

そうして読み進めることで、本書の内容だけでなく、その周辺知識まで含めて自分の中に落とし込むことができます。

本書は、すべてを丁寧に教えてくれるタイプの参考書ではありません

だからこそ、「調べながら読む」という姿勢が自然と身につきます。

のしん
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受け身で読むのではなく、自分から理解しにいく

その積み重ねが、勉強の本質だと感じました。

ボリュームがちょうどいい

本書は約200ページ弱の分量です。B5判の教科書サイズではありますが、余白も多く、1ページあたりの情報量が多すぎる印象もありません。

のしん
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専門用語や作用機序を調べながら読み進めた私でも、5時間ほどで読み切ることができました。

集中して取り組めば、2〜3日で読み終えられる分量だと思います。

精神科領域を改めて学び直す参考書としては、重すぎず、軽すぎない。

途中で投げ出してしまうほどのボリュームではない一方で、「読んだつもり」で終わらないだけの厚みもあります。

その意味で、精神科の自己学習としてはちょうど良い分量だと感じました。

(気になった点)通勤時間に読む本ではないと感じた

本書は、通勤時間やスキマ時間にサッと読み進めるタイプの参考書ではないと感じました。

B5判という物理的なサイズもありますが、それ以上に、読み進めるために求められる前提知識のレベルがやや高いと感じたからです。

薬の分類や作用機序をある程度分かっていることを前提に話が進むため、知識が曖昧なままだと立ち止まる場面が出てきます。

のしん
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私自身も、用語や背景をその都度調べながら読み進めました。

そのため、流し読みには向いていません。

机に向かい、時間を確保して取り組むことで、本書の価値がより活きる1冊だと感じました。

本書を読んでいて、分からなくて調べたこと

本書を読み進める中で、「これ、ちゃんと理解できていないな」と何度も立ち止まりました。正直に言えば、そのままでは読み進められない部分もありました。

のしん
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「薬剤師のための本」と書かれているのに、自分の知識の穴が次々と見えてくる。そんな感覚もありました。

そこで今回は、本書で分からなかった箇所を実際に調べ直し、自分なりに整理した内容をまとめています。

本書の要約ではなく、「読んでいてつまずいた私が、調べて学び直したこと」の記録です。

うつ病治療における“増強療法”の考え方

のしん
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本書を読むまで、私は「増強療法」という言葉自体を知りませんでした。

増強療法とは、抗うつ薬を一定期間使用しても十分な効果が得られない場合に、別の薬剤を追加して効果を高める治療戦略のことです。

薬を変更するのではなく、現在の治療を土台にしながら“上乗せ”するという発想です。

例えば、抗うつ薬に抗精神病薬や気分安定化薬などを併用するケースがあります。一見すると多剤併用に見えますが、そこには「効果を増強する」という明確な意図がある場合があります。

のしん
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これまで私は、薬が追加されると「効いていないのだろう」と単純に考えていました。

しかし、増強療法という考え方を知ることで、処方の見え方が少し変わりました。

単剤で足りないときの“次の一手”としての治療戦略があることを学びました。

三環系抗うつ薬と受容体のダウンレギュレーション

“感想”の見出しでも触れた「ダウンレギュレーション」という言葉です。

本書の中で、「三環系抗うつ薬の長期投与により、アドレナリンβ受容体や5-HT₂受容体のダウンレギュレーションが起こる」という記述がありました。

のしん
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私は「ダウンレギュレーション」という言葉の意味を知りませんでした。

そもそも抗うつ薬についても、「セロトニンを増やす薬」くらいの理解で止まっていました。

ダウンレギュレーションとは、刺激が長期間続いたときに、細胞側が受容体の数や感受性を減らして反応を弱める現象のことです。

つまり、「刺激が続くと、受け手側が慣れてしまう」という生体の調整です。

三環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害し、シナプス間隙の濃度を高めます。その状態が続くことで、β受容体や5-HT₂受容体が減少すると考えられています。

そしてこの受容体の変化は、抗うつ薬の効果発現までに2〜3週間かかる理由の一つとされています。

三環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害し、シナプス間隙の濃度を高めます。ただし、セロトニンが増えたとしても、そのまま効果が出るわけではありません

生体はこの変化に対して、元の状態に戻そうとする方向に働きます。その際にブレーキの役割を担うのが、セロトニンの自己受容体です。

自己受容体はセロトニンの放出を抑える方向に働くため、セロトニンが増えていても、その作用は十分に発揮されません。

この状態がしばらく続くことで、自己受容体が徐々に減少し(ダウンレギュレーション)、ブレーキが外れていきます。

すると、セロトニンの作用がしっかりと発揮されるようになり、そこで初めて抗うつ効果が現れてくると理解できました。

のしん
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「セロトニンを増やす薬」という理解から一歩進み、受容体レベルでの適応変化まで考える必要があることを学びました。

「抑うつ」という言葉の意味

のしん
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正直に言えば、この内容は記事に書こうか迷いました。

あまりにも初歩的で、「こんなことも知らないで精神科の薬を交付していたの?」と思われるかもしれない、と感じたからです。

それでも、もしかしたら私と同じように曖昧な知識のままの薬剤師の方もいるのではないかと思い、思い切って書きます。

のしん
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私は、「抑うつ」という言葉の意味をきちんと理解していませんでした。

うつ状態はわかります。躁状態もわかります。抑うつってどっちやねん。

と、ずっと曖昧なままにしていました。「抑」という字が入っているので、

のしん
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うつを抑制するってこと? それって躁のこと?

と、本気で思ってました。

調べてみると、「抑うつ」とは気分の落ち込みや意欲の低下、不安感などを含む“状態”を指す言葉です。

診断名としての「うつ病」とは異なります。

抑うつ状態はさまざまな疾患でみられますし、双極性障害では「抑うつエピソード」という形で現れます。つまり、「抑うつ=うつ病」ではありませんし、「躁」と対になる概念でもありません。

言葉の意味を曖昧にしたまま使っていると、思考も曖昧になります。

のしん
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本書をきっかけに、ようやくその違いを整理できました。

抗精神病薬の「定型」と「非定型」の違い

のしん
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抗精神病薬の「定型」「非定型」という言葉も、きちんと理解していませんでした。

今回あらためて調べて、「第一世代=定型」「第二世代=非定型」という対応関係だということがわかりました。

抗精神病薬が基本的にD₂受容体を遮断する薬である、という点は頭に入っていたので、「世代の違い」という整理ができたことで、自分の中でようやく腑に落ちました。

のしん
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そして、私のこだわりというか、変なところというか……。

なぜ古い第一世代の抗精神病薬が「定型」で、新しい第二世代が「非定型」と呼ばれるのかが気になってしまい、そこまで調べました。

調べてみると、「定型」というのは“従来型”という意味で、最初に確立された抗精神病薬の作用様式を指しています。主にD₂受容体を強く遮断するという、当時の標準的な機序が“典型的”だったということです。

一方、「非定型」は、その従来の型とは異なる特徴を持つ薬剤群として登場しました。D₂遮断に加えてセロトニン受容体への作用を併せ持つなど、副作用や作用の広がりが従来型とは異なることから「非定型」と呼ばれています

つまり、「定型=形が決まっている」「非定型=形がない」という意味ではなく、「従来の典型的な作用様式かどうか」という歴史的な背景に基づいた分類でした。

のしん
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言葉の背景を知ることで、単なる暗記ではなく、分類の意味まで整理できた感覚がありました。

『薬剤師のための精神科の薬』をオススメできる人

本書は、多くの薬剤師にとって学びのある1冊だと思います。その中でも、特に「この人には刺さるだろう」と感じたタイプの薬剤師を挙げてみます。

のしん
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自分が読んでみて、よりオススメできると感じた方々です。

国家試験合格から日が浅い、1年目の新人薬剤師

本書は、ベテラン薬剤師よりも、国家試験から日が浅い1年目の薬剤師の方がスラスラ読み進められるかもしれません。

理由は、作用機序や受容体レベルの知識がまだ頭に残っているからです。

抗精神病薬や抗うつ薬といった分類を聞いたときに、D₂受容体遮断、5-HT₂A受容体遮断、セロトニン再取り込み阻害といった機序がすぐに思い浮かぶ状態であれば、本書の内容は理解しやすいと思います。

のしん
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正直なところ、国家試験から時間が経つと、薬理の作用機序ってどんどん抜けていくと思います。私はそうでした。

もちろん個人差はありますし、このブログを読んでくださっているような勉強意識の高い薬剤師の方は、きちんと整理されているかもしれません。

でも、精神科領域の作用機序をスラスラ説明できる薬剤師って、実はそこまで多くないのではないでしょうか。

本書の中でも作用機序の説明はあります。

ただ、すべてを基礎から丁寧に解説しているわけではなく、ある程度理解している前提で話が進む場面もあります。

のしん
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私自身も、かなり調べながら読みました。

そのため、国家試験の知識がまだ鮮明なうちに読むと、よりスピード感を持って読み進められる1冊だと感じました。

机に向かって勉強することが苦ではない薬剤師

のしん
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本書は、机に向かってじっくり勉強することが苦ではない薬剤師に向いている1冊だと感じました。

これまで書いてきた通り、本書は前提知識があることを前提に話が進む場面があります。

そのため、分からない用語や作用機序が出てきたときに、そのまま読み流すのではなく、いったん立ち止まって調べる姿勢が求められます。

通勤時間にサッと読む、というよりも、机に座ってペンを持ちながら読み進める本です。

分からないところをメモしたり、別の資料を開いたりしながら読むことで、はじめて内容が自分の中に落ちてくる感覚がありました。

逆に言えば、「短時間で効率よく知識を増やしたい」「とりあえず要点だけ知りたい」というスタイルの学習にはあまり向いていないかもしれません。

のしん
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腰を据えて勉強する時間を確保できる薬剤師にとっては、しっかりと向き合える参考書だと思います。

5大精神疾患を答えられない薬剤師

のしん
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「5大精神疾患を挙げてください」と聞かれて、すぐに答えられるでしょうか。

・うつ病

・双極性障害

・神経症、心身症

・統合失調症

・認知症

精神科領域を整理するうえでの基本的な枠組みです。

正直に言えば、私は答えられませんでした。精神科の処方は毎日のように目にしているのに、疾患を体系的に整理したことがなかったからです。

のしん
のしん

もしこの問いに少しでも詰まるのであれば、それは精神科領域をきちんと学び直すタイミングかもしれません。

本書は、この5大精神疾患を軸に症例が展開されます。疾患と薬を結びつけながら整理できる構成です。

精神科の処方を“なんとなく理解する”状態から抜け出したいのであれば、本書を使っての学び直しがオススメです。

著者紹介

本書の著者は、吉尾隆先生です。

住吉病院精神科薬物療法サポートセンター準備室長、昭和大学薬学部客員教授などを務められ、日本精神薬学会理事長も歴任されています。精神科専門薬剤師であり、博士(薬学)の学位を持つ、精神科領域の第一人者です。

これまでに、

『向精神薬がわかる!使える!答えられる』

『精神科領域の服薬指導Q&A』

『精神科薬物療法トレーニングブック』

『こころの治療薬ハンドブック』 

など、精神科薬物療法に関する著書を多数執筆されています。

精神科領域における薬物療法、とくに統合失調症患者の薬物療法や服薬アドヒアランス向上に関する研究を専門とされており、本書の内容にもその臨床的な視点が色濃く反映されています。

まとめ【机に座って向き合う精神科の参考書】

精神科の薬を、なんとなく理解したままにしていないでしょうか。

本書は、机に座って読み進めるタイプの参考書ですが、ボリュームは約200ページ弱。調べながら読んでも5時間ほどで読み切れる分量です。

気軽に手に取りつつ、精神科領域の疾患と薬を整理し直せる1冊だと感じました。

のしん
のしん

最後に、本書の特徴と感想、そしてオススメできる人をあらためて整理します。

【本書の特徴】

・症例ベースで5大精神疾患とその治療薬を体系的に整理できる

・約200ページ弱で、調べながらでも5時間ほどで読み切れる分量

・現場で使う実践書ではなく、自己学習に特化した参考書

・B5判サイズで、机に座ってじっくり読むスタイルに向いている

・作用機序や受容体レベルの知識があると理解が深まりやすい

・薬局薬剤師向けの本だが、病院薬剤師にも勉強になる

【本書を読んだ感想】

・症例ベースで5大精神疾患とその治療薬を体系的に整理できる

・約200ページ弱で、調べながらでも5時間ほどで読み切れる分量

・現場で使う実践書ではなく、自己学習に特化した参考書

・B5判サイズで、机に座ってじっくり読むスタイルに向いている

・作用機序や受容体レベルの知識があると理解が深まりやすい

・薬局薬剤師向けの本だが、病院薬剤師にも勉強になる

【本書をオススメできる人】

・国家試験合格から日が浅い、1年目の新人薬剤師

・机に座って勉強することが苦ではない薬剤師

・5大精神疾患を答えられない薬剤師

今後あなたが薬剤師として業務を行う上で、精神科の処方を「なんとなく」で続けることもできます。

でも、少しだけ立ち止まって整理し直すだけで、見えてくる景色は変わります。

本書は、そのきっかけになる1冊です。

重たい覚悟はいりません。ただ、机に座る時間を少しだけ確保するだけです。

のしん
のしん

精神科領域を、自分の中で一度きちんと整えてみたいと思ったときに、ぜひ本書を手に取ってみてください。

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