【抗菌薬の勉強はこの1冊から】『抗菌薬のきほんのき』を薬局薬剤師が徹底レビュー

抗菌薬の勉強って、何から手をつければいいのかわからない……

抗菌薬の種類が多すぎて、どう整理したらいいのかわからない……

抗菌スペクトルがなかなか覚えられない……
このように、感染症や抗菌薬の勉強に苦手意識を持っている薬剤師の方も多いのではないでしょうか。

私自身、感染症や抗菌薬にはずっと苦手意識があります。
過去には病院薬剤師として働いていた時期もありますが、抗菌薬は覚えることが多く、難しい。
正直なところ、しっかり勉強することから逃げてきました。
そんな私が今回読んだのが、『ねころんで読める 感染症と抗菌薬のきほんのき』です。

実際に読んでみて感じたのは、「新人の頃に、この本と出会いたかった…!」ということ。
イラストやたとえ話、抗菌薬の擬人化が多く、それぞれの抗菌薬の特徴をイメージしやすく解説されています。

特に印象に残ったのが、私自身なかなか覚えられずにいた「抗菌スペクトル」の説明です。
複雑に感じていた抗菌スペクトルがシンプルに整理されていて、「この本で作られているイメージを、そのまま自分の中に定着させたい!」と感じました。
この記事では、抗菌薬に苦手意識のある薬局薬剤師の私が、実際に本書を読んだ経験をもとに、
・『感染症と抗菌薬のきほんのき』の特徴
・実際に読んで感じたこと
・本書をオススメできる人
について詳しく紹介します。

私と同じように抗菌薬に苦手意識のある薬剤師の方が、勉強を始めるきっかけとなれば嬉しいです。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 抗菌薬を勉強したいすべての薬剤師にとって、最初の1冊になりうる本です。抗菌薬に苦手意識がある方や、何から勉強すればいいのかわからない方にもオススメできます。 | |
| 実務での活かしやすさ | 処方箋に抗菌薬があったとき、その抗菌薬のスペクトルを1~2分でサッと確認できます。実務で詳しく調べるための本というよりも、抗菌薬の基本を確認するために使いやすい1冊です。 | |
| 自己学習への向き | コンパクトで薄く、軽いため持ち運びやすいです。電車での通勤中など、ちょっとした時間にも読み進められます。私自身、何度も繰り返し読んで、本書で学べる抗菌薬の基本を覚え切りたいと感じました。 | |
| 読みやすさ | 筆者と「抗菌薬の神様」、擬人化された抗菌薬たちとの会話形式で構成されています。堅い解説が続くのではなく、やり取りを楽しみながら読み進められるところが本書の魅力です。 | |
| コスパ | 税込2,420円。医療書としては比較的手に取りやすい価格帯です。学べる内容は抗菌薬の基本に絞られていますが、「抗菌薬を勉強する最初の1冊」として考えると、コストパフォーマンスは高いと感じました。 |
【のしんの一言】

知識を活かせるかどうかは、“自分次第”ではなく“環境次第”かもしれません。
もし今の職場に違和感があるなら、一度こちらの記事も読んでみてください。
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『感染症と抗菌薬のきほんのき』はどのような本なのか?
『感染症と抗菌薬のきほんのき』は、感染症や抗菌薬に苦手意識がある方でも、抗菌薬の基本をイチから学べる入門書です。
抗菌薬の難しい内容をできるだけシンプルに整理し、イラストやたとえ話などを使ってわかりやすく解説しています。

まずは、『感染症と抗菌薬のきほんのき』がどのような本なのか、その特徴を紹介します。
感染症・抗菌薬が苦手な薬剤師に向けた入門書
『感染症と抗菌薬のきほんのき』は、感染症・抗菌薬に苦手意識がある薬剤師や、これから抗菌薬の勉強を始めたい薬剤師にオススメの入門書です。
抗菌薬の勉強を始めようと思っても、

種類が多くて整理できない

抗菌スペクトルが覚えられない
と、苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。

私自身もその一人です。
病院薬剤師として働いていた経験がありますが、当時から抗菌薬には苦手意識があり、しっかり勉強することから逃げてきました。
そんな私でも、本書は「これなら抗菌薬の勉強を最初からやり直せそう」と思える内容でした。
感染症や抗菌薬について詳しく学んできた薬剤師というよりも、「抗菌薬が苦手」「何から勉強すればいいかわからない」という薬剤師が、最初に手に取る1冊としてオススメしたい本です。
イラスト・たとえ話・擬人化でわかりやすく解説
『感染症と抗菌薬のきほんのき』の大きな特徴が、イラストやたとえ話、抗菌薬の擬人化を使って解説していることです。
本書では、「筆者」と「感染症の神様」、さらに「擬人化された抗菌薬たち」との会話形式で話が進んでいきます。

それぞれの抗菌薬の特徴がキャラクターとして表現されているため、文字だけで特徴を覚えるよりも、「この抗菌薬はこんなイメージ」と頭に残りやすいと感じました。
抗菌薬の知識をなかなか整理できずにいた私にとって、「この本で作られている抗菌薬のイメージを、そのまま自分の中に定着させたい!」と思える解説でした。
難しい内容を最初から細かく覚えるのではなく、まずはイラストやキャラクターを通して抗菌薬の全体像をイメージできるところが、初学者にとって本書の大きな魅力だと思います。
100分で読めるコンパクトな1冊
『抗菌薬のきほんのき』は、出版社から「100分で読める」と紹介されているコンパクトな入門書です。
A5判・144ページと薄くて軽く、感染症や抗菌薬について最初から分厚い専門書で勉強するのはハードルが高いと感じる方でも、手に取りやすいボリュームになっています。
薄くて軽いため持ち運びもしやすく、通勤時間に電車の中で読み進めることもできます。
立ったままでも読みやすいので、ちょっとした移動時間を使って抗菌薬を勉強したい方にも向いています。
「まずは抗菌薬の基本を一通り学びたい」という方が、最初の1冊として読み始めやすい本です。

ただし、ここで注意したいのは、「100分で読める」のであって、「100分で理解できる」「100分で身につく」という意味ではないということです。
コンパクトで読みやすいからこそ、何度も読み返しながら抗菌薬の基本を身につけていきたいです。
『感染症と抗菌薬のきほんのき』で学べること

『抗菌薬のきほんのき』は、抗菌薬の基本から順番に学べる構成になっています。
まずは、抗菌薬を適正使用するための基本的な考え方からスタート。
その後、代表的な感染症や抗菌スペクトル、個々の抗菌薬の特徴へと進んでいきます。
なかでも、本書の大きな魅力だと感じたのが抗菌スペクトルのわかりやすさです。
擬人化された抗菌薬たちが、自分の抗菌スペクトルをわかりやすく教えてくれます。
複雑な抗菌スペクトルを、初学者でもイメージしやすいように整理している点は、本書の一番の推しポイントです。

ここからは本書の構成に沿って、どのようなことが学べるのかを紹介します。
抗菌薬を適正使用するための基本的な考え方
本書ではまず、抗菌薬を適正に使用するための基本的な考え方から学びます。
ポイントとなるのは、次の5つです。
・抗菌薬が必要な患者なのか
・投与量は適切か
・選択した抗菌薬は適切か
・投与方法は適切か
・投与期間は適切か
「どの抗菌薬を使うか」だけではなく、そもそも抗菌薬が必要なのかというところから考えていきます。
さらに、耐性菌やデ・エスカレーション、血液培養、アンチバイオグラムなど、抗菌薬を適正に使用するうえで知っておきたい内容も取り上げられています。

難しく感じやすいテーマですが、本書ではたとえ話を使いながら、初学者にもイメージしやすく解説されています。
抗菌薬の名前や特徴を覚える前に、まずは「抗菌薬をどう使うのか」という基本的な考え方を学べる内容になっています。
代表的な感染症と抗菌薬治療のポイント
抗菌薬の基本を学んだあとは、代表的な感染症について学んでいきます。
本書では、市中肺炎や院内肺炎、腎盂腎炎、性感染症、皮膚感染症など、さまざまな感染症が取り上げられています。

それぞれの感染症について、原因となる病原体や抗菌薬治療を考えるうえで、押さえておきたいポイントが解説されています。
ここでも特徴的なのが、たとえ話を使った説明です。
本書では、
・発熱性好中球減少症を「田舎のあぜ道」
・腎盂腎炎を「河川を遡上する鮭」
とたとえて解説しています。
「なぜ、あぜ道?」「なぜ、鮭?」と思いますよね。

詳しい内容は本書を読んでいただきたいのですが、このようなたとえ話を使うことで、難しい感染症の特徴をイメージしやすく紹介しています。
感染症について詳しく勉強したことがない方でも、まずは基本的な考え方をつかむきっかけになる内容です。
複雑な抗菌スペクトルをシンプルに整理できる

私が本書で一番推したいポイントが、抗菌スペクトルのわかりやすさです。
抗菌薬を勉強するうえで、「どの抗菌薬が、どの菌に効くのか」を理解することは避けて通れません。
しかし、抗菌薬の種類も菌の種類も多く、初学者にとって抗菌スペクトルを整理するのは簡単ではありません。
本書では、複雑な抗菌スペクトルをできるだけシンプルに整理しています。

さらに面白いのが、抗菌薬が擬人化され、自分自身の抗菌スペクトルを教えてくれることです。
ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系など、それぞれの抗菌薬がキャラクターとして登場します。
そのキャラクターと会話するように読み進めながら、「この抗菌薬はこのあたりの菌をカバーする」というイメージをつかんでいきます。

実際に読んで、この本で作られている抗菌薬のイメージを、「そのまま自分の中に定着させたい!」と感じるほどわかりやすく整理されていました。
個々の抗菌薬の特徴と重要ポイント
抗菌スペクトルの全体像をつかんだあとは、個々の抗菌薬について学んでいきます。
ここでも登場するのが、擬人化された抗菌薬のキャラクターです。
それぞれの抗菌薬が、自分の特徴や覚えておきたいポイントを語るような形で解説されています。
抗菌スペクトルで大まかなイメージをつかみ、そのあとに個々の抗菌薬について学んでいく。

抗菌薬の種類が多すぎて整理できていない方でも、順番に知識を整理しやすい構成になっています。
『抗菌薬のきほんのき』を読んだ感想【良かった点・気になった点】

感染症・抗菌薬に苦手意識がある私でも、本書はとても読みやすいと感じました。
特に良かったのは、複雑な抗菌薬をイメージしやすく整理している点です。
一方で、実際に読んでみると「100分で読める」という点については、少し気になるところもありました。

ここからは、抗菌薬の知識にあまり自信がない私が実際に読んで感じたことを、率直に紹介します。
イラスト・擬人化で抗菌薬をイメージしやすかった
本書を読んで特に良かったのが、イラストや擬人化によるわかりやすさです。
抗菌薬がキャラクターとして登場するため、それぞれの特徴をイメージしながら読み進めることができました。
特に抗菌スペクトルの整理は、本当にわかりやすかったです。
文字や表を丸暗記するのではなく、本書で描かれている抗菌薬のイメージを、そのまま自分の中に定着させたいと感じました。
そして何より、楽しく読み進めることができました。

筆者と擬人化された抗菌薬の会話を隣で聞いているような感覚で、単純に読み物として楽しい1冊です。
4コママンガで描かれているページも多く、普段あまり本を読まない方にもオススメできます。
(気になった点)私は100分では読めなかった

本書は「100分で読める」と紹介されていますが、私は初めて読んだ時、3時間以上かかりました。
感染症・抗菌薬の知識に自信がないこともあり、わからない部分を調べたり、メモを取ったりしながら読んだからです。
そのため、初学者が内容を理解しながらじっくり読む場合は、必ずしも100分で読み終えられるとは限りません。
一方で、本自体はコンパクトで読みやすく、サラッと全体を読み通すのであれば「100分で読める」というのも事実です。
1回で理解しようとせず100分で読むのを繰り返した方が良さそう
私は初めて本書を読んだ際、3時間以上かけてじっくり読み込みました。

しかし、それだけ時間をかけても、内容を暗記できたかというと、ほとんどできていませんでした。
1回読んだだけで頭に入るほど、抗菌薬の範囲は狭くも簡単でもありません。
そこで2回目からは、出版社が謳っているように100分程度でサラッと読むことを繰り返しています。
すると、初めて読んだときより2回目、2回目より3回目の方が、内容がスッと頭に入ってくる感覚がありました。

まあ、これは当たり前ですよね。
「100分で理解する」のではなく、「100分で読むことを繰り返す」。
本書を手に取った方には、ぜひこのような読み方も試してほしいです。
『感染症と抗菌薬のきほんのき』をオススメできる人
『感染症と抗菌薬のきほんのき』は、イラストやたとえ話が多く、難しい内容でもイメージしながら読み進められる入門書です。
実際に読んでみて、「抗菌薬の勉強を始めるなら、まずこの本から」と思える1冊でした。

抗菌薬を学びたい多くの方にオススメできますが、中でも特にオススメしたい人をお伝えします。
抗菌薬に苦手意識のある薬剤師
まずオススメしたいのが、抗菌薬に苦手意識がある薬剤師です。

私自身、感染症や抗菌薬の知識にはあまり自信がありません。
抗菌薬は種類が多く、抗菌スペクトルも複雑です。「何から勉強すればいいのかわからない」と感じている方も多いと思います。
繰り返しお伝えしていますが、本書はイラストや擬人化を使って抗菌薬をイメージしやすく解説しています。
いきなり分厚い専門書に挑戦するのではなく、抗菌薬を勉強する最初の1冊としてオススメしたい本です。
これから病院で働き始める新人薬剤師
これから病院で働き始める新人薬剤師にも、本書はオススメです。
病院では、入院患者の感染症による発熱を数多く経験
します。
病院薬剤師として働く以上、感染症・抗菌薬の勉強は避けて通れません。

病院に勤務していた私が、抗菌薬の勉強を避けてきたことは内緒です。
実際、私は病院を辞め、現在は調剤薬局で働いています。
抗菌薬の知識に自信が持てなかったことが、病院を辞めようと思った理由の1つです。
もし病院薬剤師時代に本書と出会い、抗菌薬を楽しく勉強できていたら、まだ病院で働いていたかもしれません。

これから病院薬剤師として働き始める方には、ぜひ早いうちに読んでほしい1冊です。
著者紹介
本書の著者は、感染症専門医の矢野邦夫先生です。
1981年に名古屋大学医学部を卒業。浜松医療センター感染症内科長、副院長などを歴任し、感染症診療や感染対策に長年携わってきた先生です。
感染症専門医・指導医、抗菌化学療法指導医、インフェクションコントロールドクターなどの資格を持っています。
著書には、
・『ねころんで読める抗菌薬』
・『もっとねころんで読める抗菌薬』
・『もっともっとねころんで読める抗菌薬』
・『ねころんで読めるCDCガイドライン』
などがあります。
感染症や抗菌薬といった難しいテーマを、たとえ話やイラストを使ってわかりやすく伝える「ねころんで読める」シリーズを多数執筆されています。
本書がとてもわかりやすかったので、ぜひ続編も読んでみたいと思いました。
まとめ【抗菌薬の勉強を始めるなら、まずこの1冊】


感染症・抗菌薬に苦手意識がある私でも、『抗菌薬のきほんのき』はとても読みやすい1冊でした。
特に、イラストやたとえ話、擬人化された抗菌薬による解説はわかりやすく、とにかく楽しんで読めました。
本記事のポイントをおさらいします。
【『感染症と抗菌薬のきほんのき』はどのような本なのか?】
・感染症・抗菌薬が苦手な薬剤師に向けた入門書
・イラスト・たとえ話・擬人化でわかりやすく解説
・100分で読めるコンパクトな1冊
【『感染症と抗菌薬のきほんのき』で学べること】
・抗菌薬を適正使用するための基本的な考え方
・代表的な感染症と抗菌薬治療のポイント
・複雑な抗菌スペクトルをシンプルに整理できる
・個々の抗菌薬の特徴と重要ポイント
【『感染症と抗菌薬のきほんのき』を読んだ感想】
・イラスト・擬人化で抗菌薬をイメージしやすかった
・(気になった点)私は100分では読めなかった
・1回で理解しようとせず100分で読むのを繰り返した方が良さそう
【『感染症と抗菌薬のきほんのき』をオススメできる人】
・抗菌薬に苦手意識のある薬剤師
・これから病院で働き始める新人薬剤師
抗菌薬は範囲が広く、1回読んだだけですべてを理解するのは簡単ではありません。
だからこそ、まずは本書のような読みやすい入門書から始めて、繰り返し読んでいくのがよいと思います。
「抗菌薬を勉強したいけれど、何から始めればいいかわからない」

そんな薬剤師に、最初の1冊としてぜひ手に取ってほしい本です。
【のしんの一言】

最後まで読んでいただきありがとうございます。
勉強意欲の高い薬剤師のあなたに、ひとつだけ伝えたいことがあります。
「もっと学びたい」気持ちを活かすには、“どこで働くか”もとても大切です。
▶︎ 学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら






