
いきなりですが、私は腎機能に関する理解度の深さによって、その薬剤師のレベル感が測れると思っています。
それほど、腎臓の知識は薬剤師にとって欠かせないものと考えています。
超高齢化社会となった日本では、腎機能の知識が必要ない薬剤師はいません。
高血圧や糖尿病、NSAIDs、利尿薬──どの患者を見ても腎機能と無関係ではいられません。
それでも、「腎機能について自信を持って説明できる」と言える薬剤師が、どれほどいるでしょうか。

偉そうなことを言っておきながら、私自身も正直、人に体系的に説明できるほど理解できていません。
そんな私が「この1冊さえマスターすれば大丈夫だ」と感じたのが、『薬剤師力がぐんぐん伸びる 専門医がやさしく教える 慢性腎臓病フォローアップの勘所』です。
本書は、CKD(慢性腎臓病)の病態から薬物療法、生活指導までを実務目線で整理した1冊。
難しくなりがちな腎臓の話を、丁寧な文章で順序立ててわかりやすく解説してくれます。
この記事では、本書を読んで得られた学びを、薬剤師の実務に結びつける形でまとめました。

CKD患者と関わらない薬剤師はいない今だからこそ、本書を通して“腎臓を支える薬剤師力”を一段引き上げてみませんか。
| 評価項目 | 評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 総合評価 | 新人からベテランまで、すべての薬剤師にオススメ。腎機能の知識が必要ない薬剤師はいません。ぜひ本書をマスターし、「腎機能の解像度が高い薬剤師」になってください。 | |
| 実務での活かしやすさ | 採血や尿検査の見方、患者への具体的な声かけ、薬剤ごとのフォローアップなど、明日からの現場で活かせる内容が多いです。辞書的に使うよりも、業務の合間に「腎機能低下が疑われる患者」を振り返る教材として使うのがオススメ。 | |
| 自己学習への向き | 解説が丁寧で調べ物をしながらでなくても読み進められます。自宅でじっくり読むのも、通勤中に少しずつ読み進めるのもいいでしょう。ただしアウトプット要素が少ないため、業務で実践してこそ定着するタイプの本です。 | |
| 読みやすさ | 文章がやわらかく構成も整理されていて読みやすいです。図表もありますが、全体的には文字中心の構成のため、普段あまり本を読まない方にはややハードに感じるかもしれません。 | |
| コスパ | 税込4,950円。医療書としてはやや高めの価格帯ですが、内容の充実度を考えると価格に見合う1冊。腎臓領域をしっかり学びたい方には迷わずオススメできます。 |
【のしんの一言】

知識を活かせるかどうかは、“自分次第”ではなく“環境次第”かもしれません。
もし今の職場に違和感があるなら、一度こちらの記事も読んでみてください。
▶︎ 学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら
『薬剤師力がぐんぐん伸びる 慢性腎臓病 フォローアップの勘所』はどのような本なのか

腎臓病に関する本は、どうしても「難しい」「専門的」という印象を持たれがちです。
そんな中で本書『薬剤師力がぐんぐん伸びる 慢性腎臓病 フォローアップの勘所』は、CKD(慢性腎臓病)を“難しい疾患”ではなく、“薬剤師が積極的に関われる領域”として整理してくれます。
CKDの基礎から薬物療法、検査値の見方、フォローアップまでを体系的に学べる構成となっており、腎機能の知識を整理したい薬剤師にとって非常に学びの多い1冊でした。
まずは、本書の特徴を紹介していきます。
CKD(慢性腎臓病)の全体像をつかめる1冊
本書は、CKD(慢性腎臓病)という大きなテーマを、個別テーマごとに掘り下げながら、全体の流れを体系的に理解できるように構成された1冊です。
第1章 基礎編
CKDの定義・検査値・重症度分類などを学ぶ
↓
第2章 管理指導編
高血圧・糖尿病・電解質・薬物療法・食事指導などテーマごとに詳しく学ぶ
↓
第3章 カンファレンス編
症例を通して実務での考え方を学ぶ
第1章では、CKDの定義・重症度分類から始まり、血液検査や尿検査の見方を通して腎機能の評価を学びます。
第2章では、高血圧や糖尿病、電解質異常、薬物療法、食事指導など、CKDを悪化させる要因とその対策を一つひとつ整理。
第3章では、実際の症例を通して、これまでの知識をどのように実務へ落とし込むかを解説しています。
このように本書では、病態や薬物療法だけでなく、検査値の見方や患者への声かけ、生活指導まで幅広く学べます。
腎臓を中心に、「患者をどう見るか」「どう支えるか」を実務目線で体系的に整理できる構成です。

読み進めるうちに、「腎機能を考えること=患者を総合的に見ること」だと実感させてくれる1冊でした。
明日から実践できるフォローアップの具体例が豊富
本書では、高カリウム血症への対応、利尿薬の使い分け、減塩指導など、CKD患者のフォローアップで薬局薬剤師ができる具体的な関わり方が丁寧に紹介されています。
単に「この薬は腎機能に注意」と解説するだけでなく、「患者にどのような声かけをするか」「どんな変化を確認すべきか」まで具体的に書かれている点が特徴です。
たとえば、ARBやACE阻害薬では、高K血症や過度の降圧に注意しながら、採血状況や体調変化を継続的に確認する重要性が解説されています。
利尿薬では「体液量をどう評価するか」、減塩指導では「患者の生活背景をどう聞き取るか」など、“薬を渡したあと”のフォローアップ視点を実務レベルで学べる内容でした。

「どんな薬か」を学ぶだけでなく、「患者をどう支えるか」まで具体的にイメージできる1冊です。
なお、実際のフォローアップ方法や、私自身がどのように業務改善へつなげたかは記事後半で紹介します。
糖尿病・高血圧などのCKD関連疾患も学べる

腎臓の勉強をしていると、どうしても「腎臓そのもの」だけに意識が向きがちです。
しかし実際の現場では、CKD患者の多くが糖尿病や高血圧、脂質異常症などを併発しています。
腎機能低下は、それらの疾患と深く関わりながら進行していきます。
本書では、そうしたCKDと関連疾患のつながりを整理しながら学べます。
たとえば高血圧では、「血圧が腎臓を悪化させ、腎機能低下がさらに血圧を上げる」という悪循環をわかりやすく解説。
糖尿病では、血糖管理だけでなく、アルブミン尿が腎障害進行のサインになることも学べます。
また、カリウムやリンなどの電解質異常、脂質異常なども独立した章で扱われています。
CKDを「腎臓だけの病気」としてではなく、全身と関わる疾患として理解できる構成です。

糖尿病・高血圧・電解質・心血管疾患などをバラバラに学ぶのではなく、「CKDとのつながり」で整理できる1冊でした。
『薬剤師力がぐんぐん伸びる 慢性腎臓病 フォローアップの勘所』で私が学んだこと
本書には、CKDに関わる知識が幅広くまとめられています。
その中でも今回は、私自身が「なるほど」と感じたことや、理解が深まった内容を中心に紹介していきます。
CCrとeGFRの違い
あなたは、CCrとeGFRの違いを説明できるでしょうか。

偉そうに聞いている私は説明できませんでした。
どちらも腎機能を評価する指標であり、「60以下で腎機能低下を疑う」という点も共通しています。
そのため私は、「どちらも腎機能を評価する似たようなもの」と考えたまま業務をしていました。
しかし本書を読んで、両者は“似ているようで意味が違う指標”だと理解できました。
大きな違いは、体重を考慮しているかどうかです。
CCr(クレアチニンクリアランス)は、年齢・性別・血清クレアチニン値に加えて、体重も計算に使います。
そのため、「その患者さん個人の腎機能」をイメージしやすい指標です。
一方、eGFRは体重を使わずに計算されます。
「平均的な体格の人」を基準に補正された数値であり、腎機能を大まかに評価するのに向いています。

この2つは単位を見ると違いがわかりやすいです。
・CCr:mL/min
・eGFR:mL/min/1.73㎡
eGFRには「1.73㎡」という数字が入っています。
これは“標準的な体表面積”を意味しており、体格差を補正しているということです。
つまり、eGFRは「みんな同じ体格だったら、どれくらい腎機能があるか」を表しています。
さらにeGFRは標準eGFRと個別eGFRに分けられます。
一般的にeGFRという言葉は標準eGFRを指すことが多いです。
採血結果に自動表示されるeGFRの多くは、「標準eGFR」です。
これは体表面積1.73㎡に補正された数値なので、小柄な高齢者でも大柄な若者でも、同じ基準で比較できます。
一方、個別eGFRは標準eGFRをもとに、体格を考慮して補正した値です。
そのため、薬の投与量を考える場面では、CCrに近い役割を持ちます。

たとえば、同じ腎機能だったとしても、体重40kgの人と100kgの人で薬の投与量が同じなわけがないというのは感覚的にわかりますよね。
この“体格差”を考慮していないのが標準eGFRです。
つまり、「体重を考慮していないeGFRだけで薬の投与量を決められない」のはこのような理由です。
特に、小柄な高齢者では、標準eGFRだけを見ると“腎機能が良さそう”に見えてしまうことがあります。
そのため薬剤師は、「この患者さんの体格で、本当にこの投与量で大丈夫か?」という視点を持つことが大切です。
尿検査の重要性を知れた

これまで私は、腎機能を確認するとき、eGFRや血清クレアチニンばかりを意識していました。
しかし本書を読んで、「尿検査は腎障害を早期に見つけるために非常に重要」ということを改めて学びました。
特に、アルブミン尿・蛋白尿の重要性です。
アルブミン尿は、「腎臓のフィルター機能が壊れ始めているサイン」と考えられています。
つまり、eGFRがまだ保たれている段階でも、尿検査では異常が出ていることがあるということです。
また、糖尿病患者では、アルブミン尿が心血管イベントや腎機能悪化のリスクとも関係していることが解説されていました。
本書では、
・尿蛋白
・アルブミン尿
・尿蛋白/Cr比
・尿アルブミン/Cr比
など、似ていて混乱しやすい検査項目も整理されています。
さらに、
・CKDの早期発見
・治療効果の確認
・腎障害進行リスクの評価
など、尿検査が持つ役割についても丁寧に解説されていました。
また本書では、「アルブミン尿が減らない場合は、治療や生活習慣を見直す必要がある」というフォローアップ視点にも触れられています。
そのため薬剤師としても、「最近、尿検査はしていますか?」「尿蛋白について説明を受けていますか?」といった声かけを行うことが大切です。

採血結果だけでなく、尿検査も含めて腎障害を評価する重要性を学べた章でした。
血圧の下げ過ぎはAKIのリスクになる

私はこれまで、ふらつきなどの不具合がなければ、血圧は低いほど良いと思っていました。
しかし本書を読んで、“下げすぎ”にもリスクがあることを改めて学びました。
特にCKD患者では、過度の降圧によって腎血流量が低下し、AKI(急性腎障害)のリスクが高まることがあります。
なかでもARBやACE阻害薬は、腎保護作用が期待される一方で、脱水や過降圧時には腎機能悪化につながる可能性があります。
そのため本書では、
・ふらつき
・食欲低下
・脱水傾向
・血圧低下
などが見られた場合には注意が必要と解説されていました。
そのため薬局でも、体調変化を早めに把握することが重要になります。
特に、高齢患者では、「最近ふらつきはありませんか?」や「食事や水分はしっかり取れていますか?」といった聞き取りが重要になります。

CKD患者では、“血圧を下げる”だけでなく、“腎血流を保つ”視点も重要だと感じました。
ARB・ACE阻害薬の具体的なフォローアップ方法
本書には、さまざまな薬剤の具体的なフォローアップ方法が紹介されています。
その中でも、特に印象に残ったのがARB・ACE阻害薬のフォローアップです。

私の薬局でも、テルミサルタンはアムロジピンと並ぶ処方数の多い降圧薬です。
それほど身近な薬でありながら、私はこれまで“なんとなく交付していた”と気づかされました。
ARB・ACE阻害薬は、腎保護や心血管イベント予防の効果が期待される一方で、高K血症や過降圧にも注意が必要です。
たとえば、フォローアップでは次のような確認が重要と紹介されていました。
・最近、立ちくらみやふらつきはないか?(過度の降圧のサイン)
・食欲低下や全身倦怠感はないか?(高K血症の初期症状)
・減塩や水分摂取について指導を受けているか?(生活背景の把握)
・他の降圧薬や利尿薬も服用しているか?(併用によるリスク確認)
・採血予定や最近の検査結果を把握しているか?(eGFR・K値の確認)
こうした情報をもとに、服薬継続の可否や、主治医への情報共有の必要性を判断していきます。
さらに本書では、ARBやACE阻害薬には腎保護作用が期待される一方で、“処方されているだけで安心してはいけない”という視点も紹介されていました。
実際に血圧が目標までコントロールできているかを確認することが重要です。

「どんな薬が出ているか」だけでなく、「治療目的を達成できているか」を確認する視点が大切だと感じました。
『薬剤師力がぐんぐん伸びる 慢性腎臓病 フォローアップの勘所』を現場に活かせたこと
本書には、読んだ次の日から業務に活かせる内容が多くありました。

ここからは、一部ですが、私自身が実際の現場で意識するようになったことや、取り入れたことを紹介します。
腎機能低下患者への聞き取りが変わった

本書を読む前の私は、腎機能低下患者を見るときeGFR、血清クレアチニン、カリウム値など、採血データばかりに意識が向いていました。
しかし本書を読んでからは、「患者の状態を聞き取ること」の重要性をより意識するようになりました。
特に意識が変わったのが、尿検査や脱水リスクに関する聞き取りです。
たとえば、

最近、尿検査はしていますか?

食事や水分はしっかり取れていますか?

体重は減っていませんか?
など、採血だけでは分からない部分を確認するようになりました。
また、高齢患者では、
・食欲低下
・下痢
・発熱
・水分摂取不足
などをきっかけに、急激に腎機能が悪化することがあります。
そのため現在は、採血結果だけを見るのではなく、「この患者さんは今、脱水になっていないか?」という視点を持ちながら投薬するようになりました。

“腎機能を見る”のはもちろんですが、それに加えて、“腎機能が悪化しそうなサインを探す”ことも少しずつ意識できるようになってきました。
本書を通じて、腎機能低下患者への対応は、「数値を見ること」だけではなく、「患者の変化を拾うこと」が大切だと実感しています。
NSAIDs注意の申し送りを追加した
本書を読んでから、特に意識するようになったのが“脱水時の薬剤リスク”です。
なかでも印象に残ったのが、「triple whammy(トリプルワーミー)」という考え方でした。
これは、
・RAS阻害薬(ARB・ACE阻害薬)
・利尿薬
・NSAIDs
の3剤が重なることで、AKI(急性腎障害)のリスクが高まる状態を指します。
ARB・ACE阻害薬は糸球体内圧を下げ、利尿薬は体液量を減らします。
さらにNSAIDsは腎血流を保つ働きを弱めるため、3剤が重なると腎機能悪化のリスクが高まります。

本書を読んで、私の薬局では、ARB・ACE阻害薬と利尿薬を定期服用している患者の申し送りに「NSAIDs処方時は腎機能悪化に注意」と追加しました。
“NSAIDsは腎機能に注意”という知識自体は以前からありました。
しかし本書を読んでからは、「なぜ危険なのか」をイメージしながらフォローできるようになったと感じています。
減塩指導を具体的に提案できるようになった

私はこれまで、減塩指導というと、「塩分を控えてくださいね」と伝える程度でした。
しかし本書を読んで、減塩などの生活習慣は“患者さんが続けられる形”で提案することが大切なのだと感じました。
たとえば、味噌汁を飲む回数や、しょうゆを追加して使う習慣があるかなど、食生活に関する聞き取りを以前より意識して行うようになりました。
患者さんには、

まずは味噌汁の回数を少し減らしてみませんか?

しょうゆをミニパックにすると量を意識しやすいですよ
など、実践しやすい具体例を交えて話すようになりました。
一方で、本書では「絶対に食べてはいけない」と厳しく制限するのではなく、“継続できる範囲で調整する”という視点も紹介されています。

「減塩=我慢」ではなく、“続けられる工夫”として考えることが大切なんだと学べました。
『薬剤師力がぐんぐん伸びる 慢性腎臓病 フォローアップの勘所』を読んだ感想【よかった点・気になった点】
本書は、多くの学びがあり、興味深く読み進められました。
一方で、内容が充実しているからこそ、気になった点もいくつかありました。

ここからは、本書の良かった点・気になった点を紹介します。
実務につながる具体例と“フォローアップの勘所”がとてもわかりやすい
再三お伝えしている通りですが、本書は実務に直結する具体的な知識が手に入ります。
特に良かったのが、各項目の最後に記載されている“フォローアップの勘所”です。
単に病態や薬を解説するだけでなく、
「患者のどこを見るべきか」
「何を聞き取るべきか」
まで実務目線で整理されているため、実際の投薬場面をイメージしながら読み進められました。

「この患者さんには何を確認すればいいのか」が具体的にイメージしやすかったです。
医療書によっては、「知識としては理解できるけど、実務でどう活かせばいいかわからない」と感じることがあります。
しかし本書は、“現場でどう使うか”までつながる構成になっているため、読んだ内容をそのまま業務へ落とし込みやすい1冊でした。
腎機能だけでなく、その周辺領域の知識も手に入る
本書の良かった点は、“腎機能だけ”に話が終わらないところです。
CKDを学ぶ中で、
・高血圧
・糖尿病
・電解質異常
・貧血
・食事指導
など、腎臓と深く関わる周辺領域についても自然に理解を深められました。
また、薬物療法についても幅広く取り上げられています。
・降圧薬(Ca拮抗薬・RAS阻害薬)
・血糖降下薬(メトホルミン・SU薬・チアゾリジン薬・SGLT2阻害薬)
・抗カリウム治療薬
・腎性貧血治療薬(エリスロポエチン製剤・HIF-PH阻害薬)
・リン吸着薬
・利尿薬
・MR拮抗薬
・クレメジン

本書を読み終えると、腎機能以外の知識もかなり増えたという印象です。
CKDをきっかけに、幅広い知識をつなげながら学べる点も、本書の大きな魅力だと思います。
(気になった点)章末問題などのアウトプットの場がなく、読んで終わりになる可能性がある
本書は非常にわかりやすく、読み進めやすい1冊です。
また、第3章の症例パートでは、「この内容は○ページを参照」という形で関連ページが記載されているため、わからない部分があっても本書内で復習しながら読み進められる構成になっています。
一方で、章末問題のような“アウトプットの場”はありません。

そのため、「読んで理解したつもり」で終わってしまう可能性はあると感じました。
実際に知識として定着させるためには、
・実際の患者で意識してみる
・検査値を確認する
・フォローアップへ活かす
など、自分から能動的に業務へ落とし込む姿勢が必要だと思います。

逆に言えば、“実務へ結びつけながら読む”ことで、本書の価値がかなり高まると感じました。
(気になった点)1回の通読で理解し切るのは難しく、何度も読み返す必要がある
本書は、文章や構成が非常に読みやすく、興味深くスラスラ読み進められます。
一方で、内容が幅広いため、1回読み終えたあとに、

あれ?結局どこに何が書いてあったっけ?
となる人もいるのではないかと感じました。
特にCKDは、高血圧、糖尿病、電解質、貧血、薬物療法、生活習慣など、多くの知識がつながる領域です。
そのため、1回読んだだけで完全に理解し切るのは難しいと思います。
また、個人的には、読みにくい本や難しい本ほど、
「これはどういう意味だろう?」
と自分で調べながら読むため、逆に記憶へ残りやすい側面もあると感じています。
本書は良い意味で読みやすいため、“読めた満足感”だけで終わってしまう可能性はあるかもしれません。
だからこそ、
・実務で意識する
・わからない部分を読み返す
・患者対応と結びつける
など、繰り返し使いながら学ぶことが大切だと思います。

私自身も、「1回読んで終わり」ではなく、今後も何度も読み返すと思います。
『薬剤師力がぐんぐん伸びる 慢性腎臓病 フォローアップの勘所』をオススメできる人

大前提、本書はすべての薬剤師にオススメしたいと思えるほどの良書です。
基礎から体系立てて学べるだけでなく、現場に即した実践的な学びも得られます。
その上で、特に「このような薬剤師には刺さるだろうな」と感じた人を紹介していきます。
【新人薬剤師】“国家試験の知識”を実務につなげたい人に
国家試験を終えたばかりの新人薬剤師は、検査値やデータを与えられて、
・血中濃度
・尿中未変化体排泄率
などを計算することは得意だと思います。
国家試験を合格するには、薬物動態や腎機能に関する知識が必須ですよね。
ただ、実際の現場では、テストのようにデータから手計算で目的の数値を求めることはほとんどありません。
それよりも、
・実際の薬と患者状態を結びつけること
・患者個々に対する適正使用を考えること
の方が重要になります。
本書では、各薬剤ごとの腎機能低下患者への対応を、基礎から実務目線で学べます。
そのため、新人薬剤師が陥りがちな、

テストは解けるけど、現場でどう活かしたらいいのかわからない
という悩みを解消してくれる1冊だと感じました。
【中堅・ベテラン薬剤師】腎機能の知識を改めて整理したい人に
中堅・ベテラン薬剤師になると、腎機能へ注意しながら業務を行うこと自体は当たり前になっていると思います。
ただ、その中でも、

知識の抜け漏れや、理解が曖昧な部分は意外とある…
と感じることは誰にでもあるのではないでしょうか。
本書は、CKDの基礎から実務でのフォローアップまでを体系的に整理できるため、学び直しにも非常に向いている1冊だと思います。
新人薬剤師だけでなく、中堅・ベテラン薬剤師にも多くの学びがある内容でした。
【腎臓病を苦手にしてきた薬剤師】苦手意識を克服したい人に
普段の業務の中で、腎機能をあまり意識できていない薬剤師もいると思います。
処方通りに素早く薬を渡すことが中心になっていないでしょうか。
「この患者さん、本当に今のままで大丈夫なんだろうか?」と立ち止まって考える機会は、意外と少ないかもしれません。
本書は、CKDの基礎から実務での考え方までを非常にわかりやすく整理してくれます。
そのため、
・腎機能に苦手意識がある人
・薬剤師になってからあまり勉強できていない人
・「腎機能って難しい」と感じている人
でも読み進めやすい内容だと思います。

「腎機能をちゃんと勉強してみたい」
そう思うきっかけになる1冊でした。
著者紹介
本書の著者は、東北大学病院 腎臓・高血圧内科講師の長澤 将先生です。
2003年に東北大学医学部を卒業後、複数病院での勤務や米国留学を経て、東北大学腎・高血圧・内分泌科助教を歴任。現在は東北大学病院 腎臓・高血圧内科講師として診療・研究に携わっています。
腎臓病に関する著書も多数執筆されており、専門性の高い内容を、薬剤師にも理解しやすい形で解説してくれている点が本書の大きな特徴です。
まとめ【腎機能を学びたい薬剤師の1冊目!】

『薬剤師力がぐんぐん伸びる 慢性腎臓病 フォローアップの勘所』は、CKDの基礎から実務でのフォローアップまでを体系的に学べる1冊でした。
単なる知識の解説だけでなく、「患者のどこを見るべきか」、「どんな変化に注意すべきか」まで具体的に整理されており、実際の業務へ落とし込みやすい内容だったと感じます。
特に、腎機能に苦手意識がある薬剤師や、「なんとなく」で腎機能低下患者へ対応していると感じている薬剤師にとって、多くの学びが得られる本だと思います。
最後に、本記事の内容を簡単にまとめます。
【どのような本なのか】
・CKDの全体像をつかめる1冊
・明日から実践できるフォローアップの具体例が豊富
・糖尿病・高血圧などのCKD関連疾患も学べる
【本書を実務に活かしたこと】
・腎機能低下患者への聞き取りが変わった
・NSAIDs注意の申し送りを追加した
・減塩指導を具体的に提案できるようになった
【本書の感想】
・実務につながる具体例と“フォローアップの勘所”がとてもわかりやすい
・腎機能だけでなく、その周辺領域の知識も手に入る
・(気になった点)章末問題などのアウトプットの場がなく、読んで終わりになる可能性がある
・(気になった点)1回の通読で理解し切るのは難しく、何度も読み返す必要がある
【本書をオススメできる人】
・【新人薬剤師】”国家試験の知識”を実務につなげたい人に
・【中堅・ベテラン薬剤師】腎機能の知識を改めて整理したい人に
・【腎臓病を苦手にしてきた薬剤師】苦手意識を克服したい人に
腎機能の知識は、今後ますます全ての薬剤師に必要になると思います。
一方で、「腎機能って難しい…」という苦手意識を持っている薬剤師も多いのではないでしょうか。
本書は、そんな“難しい”を、“現場で使える知識”へ変えてくれる1冊でした。
腎機能を基礎から学びたい人はもちろん、学び直したい中堅・ベテラン薬剤師にも刺さる1冊だと思います。

ぜひ手に取ってください。オススメです!
【のしんの一言】

最後まで読んでいただきありがとうございます。
勉強意欲の高い薬剤師のあなたに、ひとつだけ伝えたいことがあります。
「もっと学びたい」気持ちを活かすには、“どこで働くか”もとても大切です。
▶︎ 学び続けたい薬剤師のための“転職の考え方”はこちら



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